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認める、ということ。ー綾世side-ー 1
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土曜日の午後。
櫻木道場の隅っこで、颯斗が寝転がっている。
午前中に陸上部の練習を終え、寮の引き上げに学校へ行った綾世と合流し、そのまま櫻木家へ来たのだが…。
合気道の稽古を見学していたはずが、窓から差し込む暖かな日差しに負けて、すっかり眠りに落ちてしまっている。
座った姿勢で、船を漕ぐような眠り方ならまだ可愛気がある。
けれど颯斗の場合、完全に床に倒れ込んで熟睡してしまっているのだ。
…まぁ、そう珍しくもなくなってきてしまっている光景。
何度か蹴り起こそうとした綾世に、お祖父さんは笑いながら『部活で疲れているのだろうから、大目に見てやろう』と、言う。
お祖父さんは、最初から颯斗には甘い。
颯斗の屈託のない笑顔や真っ直ぐな性格を気に入っている人達ならば、そうあっても仕方がないのだろうと思ったりもするが…。
かく言う、綾世自信も颯斗には甘いという自覚がないわけでもない。
稽古を終え、道場の生徒達を見送る。
お祖父さんは、指導スタッフの先生たちとの打ち合わせで、櫻木家の住居の方へ移動して行った。
夕方の部の準備を終えて、稽古場の隅に転がる颯斗の傍へ立つ。
なにかいい夢でも見ているかのような、幸せそうな寝顔だ。
だが!
一応、ここは神聖な道場なのでね。
お祖父さんの目もなくなったところで、起こすつもりで腰のあたりを押しやるように軽く足蹴にする。
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