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認める、ということ。ー綾世side-ー 3
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ずっと、誰にも解って貰わなくってもいいと…一人で平気だと思っていたのに……。
颯斗には、本当の綾世自身の事を知って嫌われてしまわないかと怖い反面、もっと自分を解って欲しいと思ってしまう。
そう考え始めると、今まで他人に抱いたことのない想いに戸惑う。
目の前の颯斗はまだ夢の中で、幸せそうだ。
「……のん気だな…」
人差し指で、鼻を軽く弾く。
陸上部に所属する、颯斗の日に焼けた浅黒い肌色に、ひときわ自分の手の白さが対照的だ。
いつも一緒に居る時はだいたい締まりのない顔をしている颯斗だけれど、走っている時は活き活きして良い表情をしている。
そんな颯斗を見ているのは、好きだ。
初めて出逢った時、繋いだ手に引っ張られ、前を走る颯斗の笑顔がとても眩しかった…そのことは、よく覚えている。
颯斗はその出逢った日に、綾世を『好きだ』と言った。
そう言われ、本当は嬉しかったのだ…。
他人との壁を作っていた綾世に、あんなにストレートに好意の言葉を伝える人なんて居なかったから…。
だけど、それと同時に、自分が原因でまた彼が傷付けられるのではないかと…怖かった。
突き放し、拒絶し…それでも、颯斗は綾世と友達で居ることを諦めないでくれた。
綾世の本心を解ってくれた。
…それが、嬉しかった。
ツンツンに短く切り揃えられた、黒く固い髪に触れる。
日に焼けた浅黒い肌。
横へ真っ直ぐと上向きな眉。
少しつり気味でシャープな一重の目。
前を真っ直ぐに見据える黒い瞳。
大切な人のために、行動して立ち向かう正義感と心の強さ。
総てを、羨ましく思う。
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