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認める、ということ。ー綾世side-ー 4
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イギリスのハーフだった父親の血を強く引き継いだ、綾世の容姿。
父親のことは大好きだったから、似ていることは嬉しい。
でも、何かと注目されてしまう自身の容姿は好きじゃない。
外見が少しでも日本的で平凡であれば、随分といろいろな事が、今とは違っているのではないかと思う…。
「…だ…にゃ……」
いつの間にか物思いに耽っていて、颯斗の寝言で我に返った。
…颯斗を見ていると、気持ちが和む。
生徒会室へ向かうにも、教室の窓を見上げるため…放課後のグランドを眺めるため…綾世はそれまでほとんど通ることはなかった外廊下を利用する様になった。
視線を巡らせた先に、颯斗の姿を見つけると、なぜか安心する。
それどころか、言葉を…視線を…交わしたくなる。
「…颯斗……」
起きそうにない寝顔をのぞき込み、顔を近づける。
颯斗の寝息が綾世の頬にかかった。
………触れたくなる。
眠る颯斗の唇に、そっと綾世の唇が触れた。
「…んぅ?あ・・やせ……??」
起きるはずがないと思っていた颯斗が、うっすらと目を開けた。
綾世は慌てて立ち上がる。
気が付いただろうか…?
鼓動が高鳴る。
「お、起きろ。稽古終わったぞ」
おもむろに、颯斗に背を向け何事もなかったように、平常心を装った。
「綾世さん…?」
むっくりと起きあがる気配を感じる。
寝ぼけ眼の颯斗…上手く誤魔化せただろうか……。
「ねぇ、綾世さん?」
心を落ち着けて、顔に動揺が現れないように気を配りつつ、綾世はゆっくり振り返った。
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