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認める、ということ。ー綾世side-ー 9
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「えぇ――…。まじか…そっちかぁ……そぅ取ってんのかよ~……」
「……?」
…普通はそう捉える。
颯斗にとって、特別な存在の"友達"。
一般的には"親友"と言うだろうか。
綾世の怪訝な視線に気が付いた颯斗が、いつにもに増して締りのない顔で笑い掛けてくる。
言葉と共に、分かりやすく変わる豊かな表情。
綾世とは対照的。
颯斗のその表情から、最悪な関係になってしまうのだけは免れたのだと、ほっとする。
自分の"想い"は、友情とは違うものだと自覚してしまったけれど、今まで通り傍に居て一緒に過ごせるのならば…颯斗がそれを許してくれるのならば、それで充分だ。
「俺さ、綾世に『好き』って言われたことも、キスだって、まじっ!すっごい嬉しいよ!!」
「…………」
覚悟していたのとは違う、全く反対の予想外の台詞に、綾世は言葉が出なかった。
見開いた瞳で、颯斗の笑顔を見つめる。
その視線に、颯斗は少し困った様な表情を向けた。
「でも…、じゃぁ俺も謝んなきゃ……」
颯斗に感謝しなきゃならないことはたくさんあっても、謝られる様な事は心当たりがない。
「…謝るって……なにを?」
「実は……前に俺も綾世と似たような事をした。…ごめん!」
「……えっ?」
「あっ!でも、いきなり"チュウ"とか、大それたことじゃないよっ!!」
………大それた、って……。
ああ、でも…そうだよな………不覚にも非常識だったかも…。
突然、颯斗が手の甲を綾世の唇に押し当てた。
驚きで瞳を瞬かせる綾世の前で、その手を今度は自分の口へ持っていく。
颯斗は綾世が触れた箇所に唇を寄せ、わざとらしくリップ音を鳴らした。
その行動に、綾世は訳も分からずただ唖然とする。
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