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認める、ということ。ー綾世side-ー 13
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すぐ目の前に、目を見開いた驚きの顔。
唇が触れそうなほどの突然の急接近を、颯斗も予期していなかったのだ。
色黒の颯斗の頬が、心なしか紅く染まっているように見えた。
そのまま、さらに颯斗が顔を寄せてきた。
微かに唇と唇が触れかけた瞬間、綾世は咄嗟に膝を折り身体を沈める。
そのまま反転し、後ろを向いた体勢で大きく一歩後退して颯斗の懐へ深く入り込む。
綾世の行動でバランスを崩しかけた相手に、曲げた腕を力いっぱい後ろへ引いた。
反射的に……。
「ぐぅぁ…」
颯斗が苦痛の声を漏らし、腹を押さえて派手に後ろへ倒れた。
肘鉄がみぞおち辺りに見事に入ったのだ。
本当に見事に……。
「あ…すまんっ!」
つい…合気の護身術。
「な…んで…だよ!?」
「…咄嗟に身の危険を感じた……」
訳でもないのだけれど…。
本当に、反射的に反応してしまった。
「ひ…ひどい……」
……確かに、申し訳ないと思う。
「…悪かった。ごめん」
謝りながら、起き上がる手助けをするために右手を差し出す。
痛みに顔をしかめていた颯斗が、苦笑いを浮かべた。
差し出した手を握った颯斗に、思いっきり力強く引っ張っられる。
今度は綾世がバランスを崩し、颯斗の上に倒れ込んだ。
「いっ…た…」
「しっかり支えてくんなきゃ困るな~」
「…颯斗……お前…」
「へへ…仕返し!それに『ごめん』じゃなくて、その後をもう一回だしっ!」
下敷きになっているにも関わらず、颯斗は愉快そうに声をあげて笑い、爽やかな顔を向けた。
悪戯が成功して喜ぶ颯斗を軽く睨み、立ち上がるために体を起こす。
「……綾世…本当に俺のこと好き?」
倒れたままの姿勢の颯斗が、真剣に訊いた。
「…さっき言った」
「でも、やっぱりもぅ一回聞きたい…」
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