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認める、ということ。ー綾世side-ー 15
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道場から、自宅へ向かう廊下へ一歩踏み出す。
「夕飯は颯斗が作ってくれるんだろ?」
先日、颯斗の絶品炒飯を食べ損ねたお祖父さんのために、今夜は腕を振るうのだと、颯斗は張り切っていた。
返事を返そうと顔だけ上げた颯斗に、面と向かうのはやっぱりまだ恥ずかしくて…。
だから横顔で微笑んで見せた。
それを見た颯斗が再び床に頭を落とす。
「……トドメ刺されて死亡」
「……は?」
そんなつもりはな無いのだけれど…。
そもそも、何がトドメになったんだ?!
綾世のふとした表情が、颯斗にとってはよもや凶器になりうるということを、当の本人には自覚がない。
「先に行ってる。ゾンビでもいいから復活して来い」
なんて…。
例えゾンビでも、それが颯斗なら問題ない…。とか、一瞬でも本気で思った綾世は苦笑いしてしまう。
颯斗は片腕を挙げ、ひらひらと手を振って綾世の言葉に返した。
それを見届けて、綾世は再び背を向ける。
穏やかな風が、火照った綾世の頬にはひんやりと感じた。
綾世は囁く。
「…颯斗が好きだ」
誰に伝えるという訳でもなく。
それは、自覚した想いを、改めて綾世自身が認めるように…。
小さく、そっと呟いた。
『認める、ということ。』END
更新一旦停止させて頂きます。
申し訳ありません…m(._.)m
2020/06/30
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