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想い 4
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「…でさぁ~目が覚めたら、ちょうど母ちゃんがこっそりケーキ食ってるところでさ~『ずりぃよ!俺にも食わせろ!!』っつったら『ヤマトの分は無いよ!』って俺にはビスケット食っとけとか言うんだぜ!いつも『ダイエットダイエット』言ってんのに、あんなんじゃ痩せねぇっつうの!なぁ~コースケ…」
「……」
うわの空のコースケには、俺の話など聞こえていない。
「あ~あ…やっぱ皆でカラオケ行けばよかったかなー。つってもコースケわざわざカラオケ行かんでも、いつも歌いまくってるけどなー。時々、両耳イヤホンして気持ちよく歌ってるけど、あれかなーり音程外れてるって気づいてるか?」
「……」
「…コースケ……」
くだらない話なんてする気分じゃないか……。
コースケがふと立ち止まる。
「……そういや…化学のレポート再提出しなきゃなんねぇんだった」
「げぇ~マジ!夏休みの宿題のやつだろ?コースケすんげぇ頑張ってなかったか?」
「…後半、やっつけだったからな……」
あ…後半はワンコ探しで、いろんな事が疎かになってたんだっけ…。
「…コースケ……」
「何もかも…最悪……」
自暴自棄になるコースケをどうにかしてあげたいのに…こんなにそばに居るのに……俺は何の力にもなってあげられない。
その苦しみを取り除いてあげたい…。
俺に…何ができるだろう…?
「な、なぁコースケ。俺、行きたい所あんだけど…帰るには遠回りになるけど、ちょっと付き合ってくんない?」
「……」
「あの、コー…」
「はぁ…面倒くさ――…。帰ろ…」
「ちょっ…」
コースケは俺に背を向け、さっさと歩き出す。
俺は、その後ろ姿をただ見送ることしか出来なかった。
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