アダルトコンテンツが含まれます。
18歳以上ですか?
- 文字サイズ:
- 行間:
- 背景色:
-
想い 7
-
俺たちは、交差点のすぐ傍の木陰。 一段高くなった花壇のレンガに座った。
「俺らず~っと一緒でさ…」
「幼馴染ってやつだね」
「…うん、そう…かな……。ちっちゃい時にさ…俺、塀に登って降りれなくなって…高い所怖くてさ」
「高所恐怖症なんだ?」
「…かな。泣いてたら、コースケ両手広げて『来い、跳べ!絶対受け止めるから!!』って…」
「かっこいいじゃん」
「うん。コースケは本当にかっこいいよ。でもさ、俺が跳んだら一緒に倒れちゃって…後ろの田んぼに二人して落っこちた!」
「ははは。かっこわる~」
「だろぉ~。でさ、帰ったら母ちゃんに家の中入ったら汚れるからそこに立っとけって言われて、玄関先で二人してバケツの水ぶっかけられて…」
「あはははは。ひでぇ~」
「だよな~…。昔っから…バカなことやっては、いつも笑ってばっかだったのに……今のコースケは全然笑わないんだ……」
「……そぅ」
「俺―――。コースケに笑っててもらいたい…元気になってほしいんだ……」
「………」
「ワンコが帰って来たら元気になるんだろうけど…それは、俺にはどうしてやることも出来ないから……」
俯く俺の顔を、穏やかな表情でワタルが下から覗き込む。
足元に座るリクまで…。
「ヤマト…。そうやって…コースケ君に想いを伝えてあげたらいいんじゃないかと思うよ」
「え…でも……」
「怖いかもしれないけど…。でも、ヤマトの気持ち…コースケ君は絶対ちゃんと受け止めてくれると思う!」
力強い肯定。
初めて会った人なのに、どうしてそうだと言い切れるのだろう。
でもワタルにそう言われると、本当にそんな気がするから不思議。
「…うん。そう…だね……」
俺の返事に、リクが嬉しそうに尾っぽを揺らした。
現在の設定
文字サイズ
行間
背景色
×
7 / 18