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想い 8
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次の日。
学校に行くとコースケはもぅ教室に来ていて、相変わらず机に突っ伏している。
近づいて声を掛けた。
「はよー。コースケ…」
返事はない。
「…寝てんの?」
「……」
…無視かよ!
そっと机の上のコースケの手に自分の手を重ねる。
「なぁ…そのままでいいから俺の想い…聞いて」
コースケはピクリとも動かない。
怖いけど…でも、伝えなきゃ。
俺は大きく深呼吸をして、コースケの耳元へ口を寄せる。
一言も聞き漏らされることがないように…。
「今すぐに…とは言わない。けど、早く元気になれよ。俺…笑ってるコースケが一番好きだよ。…大好きだ。落ち込んでさ…とことん落ち込んで…でも、必ずちゃんと元気になって笑ってよ…。時間かかるかもしんないけど、でも出来れば早く…笑顔を見せて。コースケの笑顔が見たいよ。…んで、笑えるようになったら、ジンとユウタとカラオケ行ってコースケの音痴な歌聴かせてやろー。なっ!」
「おはー!」
「うぃーっす!」
いつ来たのか、ジンとユウタがすぐ傍に立っていた。
「お…おはよー!」
俺の言ったこと…聞かれてないよね?
もし聞かれてたらと思うと、恥ずかしー。
「ってか、コースケ寝てんじゃねーぞ!」
ジンが容赦なくコースケの頭をシバいた。
スパーン!と派手な音と衝撃に、コースケがガバッと顔を上げる。
「…俺は音痴じゃね――!」
「はぁ?なに寝ぼけてんだよ!?」
「ぎゃははは。お前、夢に見るほど本当はカラオケ行きたかったんじゃねーの?」
「んあ゛ー…?」
は…?
なんだよ…本気で寝てたのかよ…。
「ぶはっ…ははははは。それーきっと俺のせいだー『カラオケいきたくな~る!』って暗示掛けたー」
寝ぼけたコースケを、みんなしてひとしきり笑いまくった。
「コースケ…大丈夫か?」」
急に、ユウタがいつになく真面目な顔をコースケに向けた。
「…あ――なにが?」
「最近疲れてんじゃん…」
「しっかり食って、しっかり寝ろよ!まだまだあちぃーんだし…バテんぞ!」
二人は心配顔をしつつ、それぞれ自分の席へ向かった。
「…だってよ?あいつらだってコースケのこと、心配してるんだぜ」
「…わーってるよ。……ありがと…な」
ボソリと呟いたコースケの口元が少し柔らかく緩んだ。
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