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想い 10
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*****
「あいつ…大丈夫かな……」
「へ…?」
コースケが唐突に呟いた。
「バカだから、帰り道分かんなくなって迷子になってんじゃないだろうか…」
「あ…あぁ、ワンコ。そうだよなーおバカだから全然言うこと聞かなくて、散歩の時、全力でコースケ引きずられてたよなー。コースケの運動靴大好きで、隙あらば噛みまくってて、靴がすぐダメになるってコースケよく嘆いてたよなー」
「もうちょい、ちゃんと躾とくんだったな…。なんて…今更なんだけど……」
ワンコの話題を口に出来る様になったってことは…少しは元気を取り戻せてるってことなのかな。
「あいつ、ちゃんと食ってんのかな……」
「……そうだね…」
やっぱり、どうしてもコースケはワンコのことが心配で心配で堪らないんだ。
こんなに傍に居るのに…やっぱり俺じゃどうしてあげることもできない…つらい…。
*****
「最近…コースケ、ハンパなくね?」
昼休み、教室でお弁当を啄きながらユウタが言う。
「あー…?」
「なにが?」
コースケと俺はユウタの言葉に訝し気な顔を向けた。
「疲れ方…ってか、やつれてんじゃん!飯も、最近残してっし!」
ジンはとても不機嫌な口調。
心配しながらも、何もしてあげられないから、イライラしてるんだ…。
その気持ち、すごくよく解る。
「あのさ…独り言もちょっと多くなったんじゃない?」
「は…?誰が?」
「おめーだよっ!」
ジンがビシッとコースケを指差す。
「…俺?そんなに独り言なんて言ってねーよ!」
「まぁ、コースケは前々から考え事とか口から漏れてること多々あったから」
「「………」」
ジンとユウタが、ちょとコースケを責めてるっぽい雰囲気だったから…コースケのフォローをしておく。
二人は顔を見合わせ、顔を顰めた。
確かにそう言われると、ちょっと多くはなった気はするけど…。
元々悩みがちな時には独り言も頻繁だったし、今は心配事を抱えているから仕方がないのかも…。
その後、俺たちはそのことには触れなかった。
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