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想い 13
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飛び込む気か!?
必死に追いかけ、その躯を捕まえる。
抱きついて、引き倒し、二人して踏切の前に派手に転んだ。
そのすぐ後に、俺たちの真横を特急列車が走り去った。
…あっぶねぇ……。
一気に冷たい汗が吹き出した。
コースケには視えていなかったみたいだけど…俺にはコースケを引っ張て行く何かの姿が視えた。
…なんだよ…あの獣の影は……。
あいつ…コースケを連れて逝こうとした。
「…な…なんなんだよぉ…躯が勝手に………」
起き上がったコースケは、自分の躯を強く抱きしめ、ガタガタと震えている。
得体の知れない者に対する恐怖。
「コースケ…ねぇコースケ!俺の声を聞いて!なぁ聞けよっ!!」
生気が抜けたようなコースケを力いっぱい抱きしめる。
どんなに叫んでも、俺の声に応える様子はない。
「…コースケ、ごめん……」
今の俺は、コースケに何もしてあげられない…。
こんなにも傍に居るのに…俺はなんて無力なんだろう……。
そっと、コースケの唇にキスをする。
「コースケ…大好きだよ」
「え…?」
耳元で呟いた小さな囁きに、コースケが正気を取り戻す。
…聞こえた!?
コースケは自分の唇を手で触れた。
今なら…俺のコースケへの想いを、ちゃんと伝えられるかもしれない。
「コースケ、お願いだから俺について来て!」
「………」
ふらりと立ち上がり、コースケは歩き出した。
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