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想い16
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「…コースケには、ずっと俺が視えてなし、声も聞こえていない……」
「そうみたいだね…」
ワタルが小さく息を吐き、コースケに向き直った。
「コースケ君、驚かないで聞いてね。僕…魂の声が聞こえたり姿が視えることがあるんだ…。事故の現場に居合わせたせいか『助けて!』って声が聞こえて…何度もここに呼ばれてた」
「は!?…嘘だろ…魂って……?なんだよ、それ!?…あいつが……ヤマトが死んだってこと?!?」
「そう…でも、今もコースケ君の傍に居る」
「ヤマトっ!?」
俺の名前を叫び、コースケが泣き崩れた。
「…嘘だっ!嫌だっ、ヤマトっ!!」
泣きじゃくるコースケを前に、俺は何もできずにただ立ち尽くす。
「最初、人の形をしている様に視えたから、魂が人間なのか動物なのか解らなかった。…でも、時々耳や尻尾が見え隠れしてた」
だから初めて会った時、リクは俺に向かってけたたましく吠えた。
人間なのか、仲間なのか…得体の知れない存在の俺に。
「俺ね…人間になりたかったんだ。そしたら、コースケの学校にも…何処にでもついて行けて、俺の知らないコースケをもっと知ることができるし、ずっと一緒に居られるから…」
「…コースケ君の世界……学校はどうだった?」
ワタルの問いかけに、自然と笑みが溢れた。
「よかった。知れてよかった…。コースケには、助けてくれる…大切にしてくれる仲間が居た。……俺が居なくなっても、コースケは大丈夫だって……思った」
本当にそう思った。
最初は、俺が居なくなって悲しむばかりのコースケが心配で不安だった。
けど…コースケには支えてくれる友達が居る。
だから、大丈夫。
「…じゃぁ、もぅ逝くの?」
「ヤマト!?嫌だ!逝くなよ!!どこに居るんだよっ!!!」
ワタルの質問に、コースケが取り乱す。
そんな様子に胸が締め付けられ、苦しくなった。
視界が歪んで、瞳から雫が溢れる。
「本当は、ずっとそばに居たかった…。だけど…俺が居ると、変な奴等がコースケにちょっかい出そうとするんだ。コースケを危険な目に合わせたくない。だから、俺は逝くよ!」
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