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「遊ぶって。マクヒョンと僕、遊んだ事なんてないし」
「だから遊ぶんでしょ」
「僕と遊んだって、楽しくないよ」
「んー、だろうね」
「はっ?」
スマホから、キャキャキャって、おかしそうにけらけら笑う声。
ずっと一緒に暮らしていたから、いつもそばに居たし、家でも仕事でも、長い時間を一緒に過ごしてきた。仕事の合間にご飯を食べたり、海外公演の合間に出かけたり、メンバーみんなで遊んだり。そうやって、たくさんの経験や時間を共有してきた。
もう十分すぎるほどに。
だけど、別れて暮らすようになったら、状況は変わり始めた。
グループで仕事のある時は前と変わらない。相変わらず毎日のように会社で会って、練習したりふざけたり、長い時間を一緒に過ごすし。
だけど、活動の準備がないと、ぐっと会う時間は減る。
宿舎の時は、誰が誰と出かけていようと、1人で仕事をしていようと、家に帰ればみんながいた。だから、あえて出かける時間を作る必要もなかったし、会う約束も必要なかった。
宿舎の頃にも一緒に遊びに出かけていた、マクヒョンとユギョミやベミは、今も毎日出かけたりお互いの家を行き来して過ごしている。
引越しから一人暮らしに馴染むまでの期間に、あっという間にそういうスタイルを確立して、宿舎の時と変わらない分量の時間を、選択して一緒に過ごしている。
本当に、仲がいいなあって、思う。一緒にいた頃よりも、今の方がより絆が深まったんじゃないかと思える程だ。
だけど実際、そんなことは僕の頭の片隅にも浮かばなかった。
ずっとずっと一緒に暮らしてきて、バスルームやトイレの順番待ちをしたり、冷蔵庫の中身に名前を書いたり。
それが生活に馴染んで当たり前だったけど。
いつ何をどうしても、誰にも迷惑をかけないし、指摘されることもない。
それが最高に良くて。
10代で宿舎に入ってから。初めてのひとりきりの自由を満喫してきた。
その過程で、引越祝いを持ってみんなの部屋を訪ねたり、招いたりするタイミングも完全に逃したし。初めは僕の部屋に行ってみたいと言っていたみんなも、何度か断るうちに、そんな話はしなくなった。
実際、この部屋に入ったことのあるのは、両親だけだ。
仕事はなくても、グループでも個人でも、毎日のようにお互いにカトクでは連絡を取り合ってるし、スニとはよく電話で話す。だから寂しさも感じないし、みんながどこで何をしているかも、だいたい把握してる。
今みたいに忙しくしてると、家にいる時間もそう長くないし、帰ってもソファかベッドにしかいない。
自分以外誰も片付ける人がいないから、リビングに脱ぎ捨てた服と靴下が増えてくだけだ。
体を起こしてリビングを見回す。
そろそろ、掃除しなきゃ。
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