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意地悪
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ハグなんて、友情の延長で今まで沢山してきた、マクヒョンからじゃなくて、僕からそうする事も良くあったと思う。それを意識しないくらい、気楽な関係。だったはずなのに。
マクヒョンにこうされると、今は落ち着かない。あの日、マクヒョンにキスされてから、色んなことが一気に変わった気がする。
変わるとしたらいい方向だって、変な自信でマクヒョンは言い放ったけど。
僕にはこれが良い事だとは、到底思えない。
「ほんともう寝るから、部屋に戻ってよ」
色んなことを考えるのが面倒になって、僕はマクヒョンの両手を掴んで僕の腰から外すとそう言った。
「ジニョンイの意地悪」
マクヒョンがぶつぶつと文句を言うけど、今は喧嘩もしたくないし、このマクヒョンの変なモードに付き合いたくもない。
ステージで笑い合って、みんなと一緒に過ごしている間は、ほんとにかけがえのない存在なのに。
今ここにいるマクヒョンは、ただ面倒で、どうしようもなく僕を困らせる、厄介な存在だとしか思えない。
それに、僕らの普段の気のおけない関係上、多少雑に扱っても、冷たく本音をぶちまけても、マクヒョンなら分かってくれる。なぜか、そんな安心感があるのも事実だ。だから、自然と本音も漏れるし、優しく出来ない時もある。
「ヒョンの相手する余裕ない、ほんと疲れたから」
「分かってる。俺も疲れてるし。ジニョンイに迷惑かけちゃダメだって思ってるけど……」
「けど、なんなの? 僕をベッドでこのまま寝かせてくれればいいだけじゃないの」
「だって」
「なに」
「だって、ジニョンイに会いたかったから」
「え?」
会いたいって、さっきまで一緒だったし、ここ数日朝から晩まで一緒にいたし。それで、会いたいとか言われても。
「ジニョンイには分かんないだろうけど」
「うん……だって、ずっと一緒だったよね」
「ちがう」
「なにが?」
「ごめん、困らせたい訳じゃないから。とにかく、寝よっか」
そう言うと、僕の手を掴んで、ベッドのある方に歩き出す。
僕は面食らって、動かずにいた。
「ジニョンイ?」
マクヒョンはぎゅっぎゅって、僕の手を引く。
「寝ないの?」
「や、じゃなくて」
眠るってのは、僕はこのベッドで、そしてマクヒョンはここを出て行くって意味に決まってる。
「一緒に寝ないよ、マクヒョン疲れる」
ずけずけ、さくさく、僕の口から漏れる本音。
変なスイッチの入ってるマクヒョン相手に、言葉を選んだり優しくする気力がもう残ってなくて。
「疲れたから、寝るんでしょ」
「じゃなくて、だから、わっ」
「あ、ベッドここか、だから電気付けてって言ったのに」
僕を無理やり引っ張っていたマクヒョンが突然バランスを崩したから、一緒にベッドに倒れ込んだ。いきなりすぎてビックリしたし。
「あービックリした」
マクヒョンはけらけら楽しそうに笑ってる。
「ジニョンイ、大丈夫? 痛いとこない?」
「ある、顔ぶつけたし、痛いし」
僕が倒れたのはマクヒョンの胸の上。脂肪と無縁のヒョンの胸は硬くて痛いし。
「ごめんごめん、大丈夫?」
マクヒョンの声に笑みが滲んでいるのが分かる。僕を胸の上に乗せて、僕の頭を撫でて。
ひとりで勝手にすごい楽しそうだし。
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