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「マクヒョン、おいしい?」
「ん、ほら、」
そう言って、スープをスプーンですくって僕に飲ませてくれる。
「おいしいよね?」
「うん」
にこにこ、嬉しそう。
ふいに、ハッとした。
「マクヒョン、夜ご飯はどうしたの?」
「ん? 昨日?」
マクヒョンはチキンを頬張りながら僕を見る。
「そう」
「寝ちゃって、食べそびれた。だから、おなか空いて目が覚めた」
そう言って、けらけら笑う。
一緒に食べないとって、さっき言ってた。きっと、昨日も僕を待ってくれてたんだよね。
ふいに、撮影現場で夜食を食べたことが、なんだか申し訳なく感じた。
昨日、寝たことを謝ったマクヒョンの気持ちが、ちょっと理解できる気がする。
「だから、何時に帰るか聞けばよかったのに」
「だよねー、ははは」
口に出したそばから!違うって思った。そんな事が言いたいんじゃなくて。
「マクヒョン、ありがとう」
「え? なに、改まって」
「洗濯とか、いろいろ」
「さっきも聞いたよ?」
「うん、だけど、それだけじゃなくて。いろいろ、とにかく、いつも、ありがとね」
「どうしたの? ジニョンイ」
僕の頭を、ぽすぽす叩く。
疲れが溜まって弱った心に、マクヒョンの優しさが滲みて来る。ああ、ほんとに、マクヒョンが来てくれてよかったな、って思った。
「ほら、食べて」
マクヒョンはそれ以上追求せずに、ただ僕の背中をゴシゴシ撫でた。
「うん、食べる」
僕も、ようやくお腹が空いてる実感が湧いて来て。少し食べ始めたらおいしくて、あれもこれもって、手を伸ばした。
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