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迷う心
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気づいたら、手を伸ばしていた
そこからは何にも考えずにただ
山根の戸惑う舌を絡めとっては必死になってキスをした。
いつもやられているように舌先で歯列をなぞり
上顎の裏を少しくすぐってやると
「ん、……ふ…」
山根は小さく吐息を漏らして身じろいだ。
ひとしきりキスをした後
山根がほんの少しだけ乱れた呼吸を整えながらこちらを見ていた
上気した頬と首筋にはうっすらと汗がにじんでいて
たまらなくなった俺は
「俺、お前が…っ………。」
気持ちを伝えようとして言葉に詰まった
「ひめ?」
「っ…!!」
何か言いかけたところで黙りこくったまま
次の言葉が紡がれることがないのを不審に思ったのか
山根が心配そうに顔を覗き込んでくる
「俺…は…」
「ん?」
その時、ふと我に返る
このまま、勢い任せで告っちまっていいのか?
そもそも…本当に伝えるべきなのか?
言ってしまえば
確かに楽になるとは思う
いつまでもこんな気持ち抱えたまま
一人でモヤモヤしたまんまっつーのは…
でも、
でももし、この気持ちを伝えることが
間違いで。
こいつを困らせたら?
そもそも、俺は好き…なんだと思うけど
こいつ…山根は??
もし伝えることで今のように触れ合うことはおろか
話すことさえできなくなったら…?
こいつは…
(山根、お前は俺の事……)
”好きか?”
「いや、なんでもねぇよ」
「あー?変だぞ、お前」
「…うるせ」
聞けるわけ…ない
あー
今まで恋愛とかキョーミなかったし
よくわかんねぇと思ったけど
誰かを好きになるって
クソめんどくせー
てか最早自分のダルさにビビるっつーか…
きもすぎだろ、俺。
「マジでどした?もう今日はこれ以上何もしねぇからよ。
風邪かもしんねぇし泊まってけよ」
「は、何で」
「いや、何か顔色わりーし、さっきから変じゃん」
「それは…なんつーか」
「あ、それとも姫は俺に抱かれる気満々だった?」
「ばっか!!なんでそーなんだよ!!」
「え~~?」
「俺はただ!!やめるのは当たり前っつーか、いつもは何言ってもやめねぇのに…ってそうじゃなくて!何でそれでてめーの家に泊まるってなるんだよって言いてぇの!!!」
「あー、そゆことか」
「そりゃまぁ俺もそこまで馬鹿じゃないし?顔色ヤバいやつ抱くほど残忍じゃないわけよ。俺って優しいし??」
「ん???」
(気のせい、だよな)
優しいとか聞こえたけど
耳を疑うわ
でもこれ言ったら絶対だるいから
黙っとくか…
「何か失礼なこと考えただろ」
「何言ってんだ、知らねぇよ」
「ふーん?」
「……」
「まぁいいけどさ~」
っぶねーーーーー!!!
バレたらやばかった…!!
何でこいつこういう事には鋭いんだよ!こえぇーわ!!
「まぁ話戻すけどさ、そういうわけで体調が万全じゃないなら帰りも心配だしこのまま泊まった方がいいって判断したわけよ」
「なる、ほど…?」
「つーわけで!今日はもう、なんもしないから大人しく泊まってけよ」
「いや、俺は…」
「いーからいーから」
「はぁ?ちょ、押すな、おすなって!!わーったよ!泊まりゃぁいんだろ!?」
「そーそ、最初から素直になればいーんだよ」
そうして山根に押されるまま風呂に押し込められたかと思えば
「じゃあ俺なんかテキトーにメシ作っとくから風呂入っちまえよ」
「タオルとか必要そうなもんは後で出しに行くから」
「は、待て待て」
「んー?何?一緒に入りたい??」
「ちっげーーよ!!なんでもねぇ!!!さっさと出てけ!!!」
バタン!!!!!!
恥ずかしさと混乱でドアを勢いよく閉めた後
ずるずると崩れ落ちるかのように
その場にうずくまる。
一体どうしてこうなった…?
ただでさえまいってるし
ましてや、告ろうとまでしたあいつの家に泊まるなんて
「くっそ…わけわかんねぇ…」
そうして俺は目を閉じた。
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