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目が覚めるといつもの景色がそこにはあった。少し汚れた白い天井に、風で少しなびくカーテン。
ぼくに血の繋がった人はもういなくなった。父は一家無理心中をはかり崖から車のごと落ちた。『ごめん』と寝ている母と兄に向けて一言呟いた。ぼくは家族特に息が詰まるような車の中の重たい空気が嫌いで耳を塞いで外を見ていた。
一度強い衝撃を受け、そのまま落ちていく感覚がした。視界がゆっくりになり、木に近づいていくのが見えた。その直後一度目より強い衝撃と音がぼくを襲った。何処も彼処も痛くてよく覚えていない。ぼくの微かに残っていた意識の中では家族であっただろう人たちの肉片を眺めていた。
ぼくは意識不明の重体で病院に運ばれたらしい。そして1週間ばかり眠りから覚めなかったらしい。それも後からお医者さんに聞いた話だが。
ぼくは今病院のベットの上で寝ている。
意識が戻ってから僕に会いに来た人は、口々にぼくに上辺だけの言葉を話して帰っていった。そして、ぼくの知らない人たちは、あの時何があったのか聞いてきた。だからぼくは冷静に言ってやった。『なにもおぼえていないと』
呆れたように帰っていった。ぼくの体はもう全力で走ることは出来ない。リハビリをしても普通の生活は出来ない。歩くことはできるが少しでも負荷がかかると倒れてしまう。自分で起き上がることが出来ない。なんとも醜い体に成り果てたものだ。
ぼくの貰われ先は孤児院かどこかだろうと思っていた。でも違かった。
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