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05.家庭
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結局。
保住の案は通り、今年度は予算の範囲内、いっぱいいっぱいを使って内容を変更することになった。
素案に対し、それぞれにアイディアが加わり、なんだかいいものができそうであるということは間違いがなかったが。
そのおかげで残業が増えたことは言うまでもない。
「今日も遅くなったな~」
背伸びをして大きくため息を吐くと、隣の水野谷も肩をたたく。
「新しいことをやるのって大変ですね。でも楽しいです」
そんな二人の様子を見て、保住は苦笑する。
「すまないな。面倒をかける」
「そんなことないですよ。いや、そんなことあるか」
吉岡は苦笑する。
「保住さんと一緒にいると、仕事が増えますよ」
「悪い。お前たちにも迷惑かけているってわかっているのだが」
「譲れないんでしょう?」
水野谷も笑う。
「そうだな。そうなのだ……そうだ。お前たちは一人だし。帰ってもどうせ夕飯もなにのだろう?家に来るか?」
保住は二人を見る。
「え!いいんですか?」
「まあ、怒られるとは思うけど、いいだろう」
「怒られるんですか!?」
この保住が?
吉岡は意外だ。
確かに。
左薬指に光る指輪が目に入るたびに、妻を大事にしているのだろうな、ということは想像できる。
彼のプライベートは知らない。
そうだ。
これはいいチャンスだ。
吉岡はそう思った。
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