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【未来の話】信号待ち
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少し未来の話
ブブ、とポケットが震えて、ほとんど条件反射的にスマホを手に取る。
それ自体は大した通知では無かったが、ついでに信号待ちで退屈だったので、何を見るでもなくネットを開いたりしていると視界の右端に写っていた足が歩き出したのでつられて足を踏み出した。
「ぅ、ぐっ」
何か考えるより先に声が出て、その後に苦しいという感覚が襲ってきた。首を絞められた、いや、襟首を遠慮なく引かれたのだ。
そしてその瞬間、トラックが目と鼻の先を猛スピードで走り抜けた。信号は赤だ。
「気をつけなよ」
「…は……」
辰真はしばらく何も言えなかった。まだ心臓がバクバクとおさまらない。
「…助かった」
震えながらようやく振り返って、自分を救ってくれた人物に礼を伝える。
「怖がりなくせに鈍感だよな、アンタの横で待ってた足、下半身しか無かったんだけど?」
変だと思って声かけに来て良かった。そう言って呆れたようにため息をつくのは案の定というか、央弥だった。
「周りも見えないほど何見てんの?インスタ?俺の周りの奴らも目の色変えて何でもかんでも写真ばっか撮りやがって」
「…写真は嫌いだ」
ぼーっとしてたんだ、と返して辰真は今度こそ信号が青になった横断歩道を歩き出した。
信号待ち
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