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小夜は検温した後、美湖ちゃんを幼稚園に送って行った。
「おはようございます。」
「さっちゃんさん!おはようございます。」
あやの先生が迎えに出てきてくれた。
「これ、今朝の体温です。」
熱があると幼稚園に登園できない。
保護者は毎日の検温の義務があり、それを園に報告する。
体温の書かれた紙を受け取ったあやの先生は、美湖ちゃんを奥の教室に送り出した後に園長室に向かうように言った。
笑顔で頷くと、小夜は何度か訪れたことのある園長室へと入った。
「おはようございます。」
「いらっしゃい。お待ちしておりました。」
小泉園長先生は、光太郎くんの母親と知り合いだ。
彼女のおかげで再会できたようなものだった。
「その節は、ありがとうございました。」
「いいえ、こちらこそ。」
秘密を共有するおれたちは、何だか昔からの知人のような気持ちになる。
にっこりと笑うと、小夜は美湖ちゃんのお母さんの状況を説明した。
「・・・ですので、お母さんの様子を見つつ、美湖ちゃんを預かろうと思っています。」
「そう。・・・大変ですけど、よろしくお願いします。」
これから帰って、美湖ちゃんのお家に掃除機をかけるつもりだ。
洗濯とかは女性ものの下着が混じっている可能性があるから手はつけない。
なるべく静養できる環境にしてから、病院へお迎えに行くように考えている。
今朝、篠崎のおじさんには断りを入れた。
はなれには、幼稚園からの帰りに直接寄って説明するつもりだった。
本当に、そろそろはなれは卒業しないといけないと思っている。
おれが入る予定になっていたら、将大さんも女将さんも期待してしまう。
中途半端は、一番迷惑だ。
小夜は園長室から退室すると、足速にマンションへと戻った。
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