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小夜は美湖ちゃんを連れて新宿駅のカフェで風見の到着を待っていた。
「美湖ちゃん、美味しい?」
「うん!」
大きなクッキーを嬉しそうに頬張る美湖ちゃんを見ながら、小夜は時間を確認した。
うん、もうすぐ到着するはず。
美湖ちゃんの額を撫でて体温を確認した。
子どもは体温調節が苦手だ。
熱射病の危険や、クーラーの効いた室内だと冷たくなりすぎたりする。
「寒くない?」
「うん!」
優しく微笑むと、氷無しにしてもらったリンゴジュースを飲ませた。
「美味しい?」
「うん、さっちゃんものむ?」
そんなことを話しながら、ガラス越しに構内を見た。
ん?あ!
「山田さん!」
ガラス越しに手を振った。
綺麗な金髪が人混みでも目立った。
「やまやさん?」
「美湖ちゃん、猫ちゃんのママだよ!」
きょとんとした美湖ちゃんに説明すると目を輝かせた。
「やまやさん!」
美湖ちゃんが大きく手を振って、山田さんが気付いた。
あら、あら。
こんなところで会うなんて。
智樹は微笑んだ。
杉さんと美湖ちゃんに会いたいと思っていたのだ。
「こんにちは。」
カフェに入ってきてくれた山田さんは、目を細めて美湖ちゃんの頭を撫でてくれた。
「カウパボ、元気ですか?」
「ええ、毎日が運動会なの。」
写真をたくさん見せてくれた。
「わ、大きくなってる!」
「でしょう?でね、今度お店が5周年になるんだけど、記念品を悩んでいてね。」
資料を広げられた。
「あ、これ!」
「ええ。」
グラスに、猫のシルエットが入っている。
カウパボのシルエットだ。
「ふふ、可愛い。」
「ね、デザインはどっちが好きかしら。」
いくつかのパターンを見せてもらって、美湖ちゃんが即決した。
「みこ、これ!」
「ふふ、おひげが描いてあるほうね?」
「うん!」
山田さんは優しく笑って、また丁寧に書類をしまった。
「参考になりました。美湖ちゃん、ありがとう。」
「5周年、おめでとうございます。」
「杉さん、ありがとうございます。是非、風見さんとお越しくださいね。」
「はい!」
それじゃあ、と言って、山田さんはお店へ出勤して行った。
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