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一方その頃、貴志は足早に会社へと戻っていた。
木曜の定例の課内ミーティングに参加するためだ。
ここ最近、コールセンター経由や、ホームページからバーコード決済の問い合わせが多い。
その対応と、契約を頂いた店舗での決済端末の取付けでてんてこ舞いの課は、濡れ手に泡の市場のせいか、どの顔を明るかった。
10月から始まる消費税増税の還元ポイントには、電子決済が必須で、それが対応出来ているか出来ていないかで、客足が変わるだろう。
顧客を逃さないためにも、特に外食産業では盛んに問い合わせがあった。
貴志も、朝から毎日外出しっぱなしだ。
今日は昼ご飯も食べ損ねている。
ミーティング前に、何か口に入れたいけれど。
電車を降りて西口へと向かうと、怪しい男が携帯を手に撮影しているのが見えた。
・・・ヤダな、盗撮?
視線の先を見ると、小さな男の子がスーツ姿の男性と一緒にいた。
え、風見さん?
目を擦った。
あれは、間違いなく風見さんだ。
この、盗撮魔め!
貴志は、鞄の角が当たるように狙って盗撮魔の手首に打ち据えた。
「っ!!・・・!」
盗撮魔の手から携帯が滑り落ちた。
カンッ!
シューーーーーーーーーッ!!
通行人の爪先に当たって、蹴られていく。
「ああ!!」
カン!シュッ、シュッ、シューーーッ!!
カンッ!シューーーッ、シュッ、シュッ!
色んな人がパスし合っている。
盗撮魔は、オロオロと携帯の行方を追っていた。
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