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実は新宿区、銭湯が多い。
料金も大人470円で、入りやすい。
新宿区に銭湯は27か所。
湯めぐりマップなるものもあり、ちょっとしたレジャー気分で周るのも楽しい。
各銭湯、趣向を凝らしており、ヨーロピアンな雰囲気の浴場やら、大正ロマンな雰囲気の浴場やら、明かりに凝った浴場と、個性豊かで楽しかったりする。
手ぶらでOKな気軽に入れるところも増えて、奏太的にはストレス発散の趣味のひとつだった。
恋人の拓篤は、ゼミの泊まり込みだと言って昨日から帰ってきていない。
まあ、大学生にとっては夏休み、ゼミやらサークルやらで何処かに研修(遊び)に行くのは当たり前だ。
そんなわけで、休日の今日、久しぶりのひとりっきりの時間を持て余した奏太は、銭湯めぐりをして楽しむことにした。
「はぁ〜、生き返る・・・。」
広々とした浴槽は、とても気持ちが良い。
禁煙外来に行き始めた奏太的には、タバコ以外のストレス発散をするしか無く、口寂しさをガムを噛んだり、飴を齧ったりして紛らわしていたが、こうやってのんびり風呂に浸かると、タバコに気持ちを左右される自分が小さく思えて、やっぱり辞めて正解だったと(無理矢理)思うことができた。
先生からは、タバコを吸いたくなるカフェインの入った飲み物、まあ、俺の場合はコーヒーだが、それを避けるようにと言われている。
飲み会も、タバコの誘惑に晒されると言われ、妙に納得した。
あ〜・・・、コーヒーと一緒に嗜むタバコ。
あ〜・・・、一杯やったあとに吸う、タバコ。
何であんなものが美味いと感じられるのか分からないが、それがニコチン中毒ってことだろう。
普通、煙吸って美味いって・・・変だもんな。
なるべく考えないようにしていたが、ついつい胸ポケットを探ってしまったり、コンビニのタバコの棚をジッと見てしまったりする。
あ〜、吸いてぇ。
吸いたくなったら、水を飲む。
口寂しくなったら、飴を齧る。
耐えて耐えて、耐える毎日だ。
まだ拓篤が居れば話し相手になってくれるし、甘い雰囲気になったら、忘れさせてくれるし、まあ・・・事後は吸いたくなるんだけども!!
「拓篤のため拓篤のため拓篤のため。」
受動喫煙問題や、命縮まる説を思い出して、どうにかこうにか耐えていた。
『あと、宣言も有効ですよ。』
『宣言、ですか。』
『身内の方、職場の方へ禁煙宣言するんです。』
お医者さまの言う通り、職場で禁煙宣言した。
そして、今日の風呂終わりに智樹の店に寄って、禁煙宣言するつもりだった。
そんなわけで奏太はサッパリした体で、ゲイバーchizooooへと向かった。
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