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むんずと握られた手。
智樹の本気の握りに、奏太は逃げられなくなった。
ため息を噛み殺して、奏太はみんなに告げた。
「・・・ほら、行きますよ。」
こうして、おっさん、大吾くん、光太郎くんの財津家。
風見、杉さん、みこちゃんの風見家。
そして、俺らの山田家で歌舞伎町から智樹の店のある2丁目へと移動した。
時間は18時近い。
だいぶ賑やかになってきた通りを歩いていく。
子ども連れで行くようなところではないのかもしれない。
それでも、智樹の店は体を擦り付けて愉しむような妖しげな店ではないし、まだまだこの辺は大丈夫だ。
杉さんは興味津々で街を見学していた。
「おじさんは、この辺りは初めてかしら。」
「はい。正直なところ、初めて足を向けました。」
だろうな。
奏太は静かに観察しながら歩いている。
不健全だと、頭っから否定するタイプだ。
だが。
「・・・いろんな店があるんですね。」
「ええ。カレー屋も牛丼屋もありますし、普通の居酒屋もあります。」
ラブホテルも、ホストクラブも、キャバクラも、ビジネスホテルも、そしてデパートさえガチャガチャと詰まった街だ。
普通の会社もあるし、ちょっと足を伸ばせば新宿御苑に軒を連ねる住宅街。
「・・・誤解していたよ。」
店に入って開口一番に言った言葉がこれだった。
「風見さん、杉さん、光太郎、すまない。」
急に謝られた小夜と光太郎は目を丸くした。
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