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好きって確信してからは、早かった。
どんどん加速度を増して、好きが積もっていくのだ。
雪だってこんなに積ったりしない。
好きがいっぱいで、目の前がキラキラ輝いているようだった。
「美味かった!久しぶりに蕎麦食ったよ。」
「ふ、普段は何を食べてるの?」
自分だけで、デートだと思ってもいいよね?
言わなければ、わかんないもん。
「外で食うか、中華料理のテイクアウトかなぁ。」
「自分では作らないの?」
そう言われてトオルは首を傾げた。
「何年も包丁握ってないかも。貴志は料理する?」
「実家暮らしだから、まずしないかも。」
「そっか残念!誰かの手作りメシを久しぶりに食いたかった。」
ドキッとした。
貴志は、自分に対して料理を作って欲しいと言われた気がしたからだ。
「お、俺、練習する!何食べたい?」
「え?」
びっくりした目で見下ろされて、失敗したと思った。
「あ、ううん!忘れて、忘れて!」
慌てて手を振って、ぎゅっと目を瞑った。
勘違いしちゃダメ!
トオルさんは、雑談で話しただけなんだから!
ぶんぶん振っていた手首を掴まれた。
目を開くと、トオルさんは笑っていた。
揶揄うみたいな笑い方じゃなくって、もっと優しい笑い方だ。
「じゃあ、サバ焼いたのと、ワカメと豆腐のみそ汁と、沢庵が良い。」
「・・・サバと、おみそ汁と、たく、わん。」
握られた手首が熱くて火傷しそう。
復唱したら、付け加えられた。
「じゃがいもと玉ねぎのみそ汁も食いたいな。」
「みそ汁が・・・2種類?」
おでこを弾かれた。
「ちげーよ。一回目は、ワカメと豆腐。次に食わせてもらう時は、じゃがいもと玉ねぎ。」
目を見開いた。
どうしよう!
次と次の約束をしてくれた!!
「つ、くる!頑張って、練習する!」
そう言うと、トオルさんは嬉しそうに目を細めて笑ってくれた。
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