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あぁ、好き・・・っ。
この気持ちを、形に出来たら良いのに。
貴志は手を引かれて展示室を出た。
中庭を見上げると、切り取られた空から青空がのぞいていた。
好き。
好き。
これがデートだと、勘違いさせて。
このまま、ずっと手を繋いでいて。
手を繋いだまま美術館を出た。
雨に濡れて生き返った公園の緑が美しい。
風さえも、ふんわりと優しかった。
歩く、歩く。
すれ違う人がちらりと視線を向けるけど、そんなの気にならなかった。
貴志はいっぱいいっぱいで、強く引かれるその手の温度と、トオルさんの綺麗な背中を見つめることで精一杯で、先のことなんて考えられなかった。
好き。
好き。
気持ちが手から届いて欲しい。
お願い、伝わって。
勘違いさせて。
トオルさんが俺のことを好きだって。
貴志はトオルの手をぎゅっと握った。
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