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久しぶりの真由ちゃんは、元気そうだった。
ちょっとドキッとしたのは、
「小夜ちゃん、事件に巻き込まれたりしてない?」
そう言われた事だ。
何故聞かれたのかは分からない。
分からないけれど、痴漢事件のことをいっている気がした。
「大丈夫。・・・自分の不注意で困ったことにはなったけど、解決したから。」
「本当に大丈夫なのね?」
「うん。」
真由ちゃんに伝わるように、しっかりと頷いた。
女の子って不思議だ。
なんでも見通しちゃうところがある。
そして、敵わないって思う。
「駅まで送るよ。」
「ううん、なんなら晋作くんに家まで送ってもらうから、大丈夫だよ!」
「え、家まで送るの?!」
「乙女を送らないわけ?」
晋作くんを巻き込んで笑いを取ると、真由ちゃんは元気に手を振って帰っていった。
ちらりと貴志さんを見ると、藤沢さんと良い雰囲気になっている。
晋作くんから受け取った封筒を藤沢さんがポケットにしまうのを見て、小夜は軽く頭を下げて座敷に戻った。
・・・貴志さん、藤沢さんのこと好きなんだ。
藤沢さんも、多分、貴志さんのことを好ましく思っているんじゃないかな。
風見さんと目が合った。
こっそりと微笑み合うと、お祝いの続きを始めた。
------------※ ※ ※------------
小夜くんが、頑張って。そう言ってくれた気がした。
そう思いたいだけなのかもしれないけれど、勇気を貰った気がした。
貴志は封筒をしまったトオルに微笑んだ。
「俺ね、今、一歩踏み出すタイミングみたい。」
そう言うと、トオルさんは俺の手を握った。
「俺も。多分、踏み出さないと一生後悔する。」
目を見つめたまま、ギュッと握り返した。
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