アダルトコンテンツが含まれます。
18歳以上ですか?
- 文字サイズ:
- 行間:
- 背景色:
-
116
-
小夜のお母さんは、案の定、天然炸裂をしていた。
「とりあえず冷凍食品を買ってきたのよ。」
小夜が絶句していた。
「・・・それで、どうやって食べるの?」
「あら、レンチンしたら良いじゃない?」
小夜の心の声が聞こえた。
だから!停電したら電子レンジも使えないんだって!!
相変わらずの炸裂に、風見は可笑しくてならなかった。
「母さん、停電したら電気がこないんだよ?」
「まあ、それが停電よね。」
「つまり、電子レンジも使えないの!」
「あら。ほんとだ。」
そんなやりとりをした後に、お爺さんの家に向かったわけだが、その話を聞いてお爺さんは笑い転げた。
「あぁ、らしい!勉強は出来るのに、何故だか抜けとる。」
お母さんの軽自動車を借りて、お墓へ向かっている。
助手席には、お爺さん。後部座席に小夜が乗り込んだ。
「だから、母さんの事が心配なんだよ。」
「あれで高校生に教えているんだからなぁ。」
絶対おかしい!
小夜が力説した。
お爺さんも楽しげに笑っている。
「あぁ、風見さん、そこのスーパーに寄ってくれんね。」
「はい。」
お墓参りに必要なお花を買い込むらしい。
「じぃちゃん、大丈夫?」
「ん、エンジンかかるまでが時間のかかると。」
よろよろとするお爺さんの手を小夜が掴んだ。
俺も横について一緒にスーパーに入った。
「風見さん、そんダコ花ば入れてくれんね。」
ソンダゴバナ??
「もー、じぃちゃん。それじゃあ分からんて。これね、団子花って呼んでるの。」
小さな丸い赤い実のような花が付いた花のことらしい。
後で調べたら、千日紅(せんにちこう)という名前だった。
小夜たちは、通称で団子花と呼んでいた。
確かに団子のようなお花で、とても可愛らしい。
「へぇ、可愛い花だな。」
正直、花に興味を持った事がない。
東京にもある花なんだろうが、初めて見た気がした。
「でしょう?ばあちゃんも好きだったよ。」
「小夜、花火ば。」
レジのすぐ近くにあった子ども用の花火セットをお爺さんに渡すと、違うと言われた。
「え?打ち上げですか?」
「花火というたら、爆竹じゃ。」
小夜が小箱に入った爆竹を持ってきた。
「1箱で良かよね?」
ギョッとした。
「小夜、正気?」
「何が?初盆じゃないから、ダンボール買いはしないよ?」
ええ?!
「普通、花火って言ったら手持ち花火でしょ?」
「違うの。長崎では、お盆の時期は爆竹を鳴らすのが普通なの。・・・おれは、苦手だけどね。」
へぇ・・・。
「風見さんは、爆竹鳴らしたことはあるね?」
「いや、無いです。」
打ち上げ花火やネズミ花火はしたことがあるが、爆竹を鳴らしたら、どんな苦情を言われるか分からない。
「今年は台風の来るけん、精霊流し(しょうろうながし)は無いかもしれんけど、一回行ってみたらよか。」
「はい。」
小夜の初盆じゃないからダンボールで買わない発言が引っかかっているが、気を取り直してレジへと向かった。
現在の設定
文字サイズ
行間
背景色
×
116 / 343