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129 2019年8月17日 ※
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たくさんのお土産を持って、おれたちは自分たちのマンションへ帰ってきた。
気流のせいで帰りの飛行機も揺れたけれど、行くときのような不安には襲われなかった。
「ね、小夜。」
「何?」
不思議なもので、家に帰ってくると、ほっとして力が抜ける。実家で緊張なんてするわけがないのに、この倦怠感は何なんだろう。
「疲れついでにさ。」
嫌な予感がした。
「久しぶりにエッチッチな事をしませんか?」
「・・・本日の、この夜ということでしょうか。」
しっかりと頷かれた。
「こう、軽くですな。ちょいちょいちょいと。」
「暁さん、ちょいちょいちょいでおさまると思いますか?」
そう言うと、風見さんは満面の笑顔で答えた。
「俺が?小夜が?」
膝の上に乗せられた。
「どっちも。」
コツンと額をくっつけた。
「そうですな、それは難しいかと思われます。」
「ダヨネー?」
「デスネー。」
唇を合わせた。
「てことは、しっかりシッポリ!やるしかないね。」
「もう!」
久しぶりの熱い唇の感触に、どんどん流されていく。
「久しぶりだから、ゆっくりしてね?」
「もちろん。」
セックスはしなくても心は通い合っている。
だけど、手を繋いだり、見つめあったり、恋人らしいことを暫くしていなかった。
だから余計に、互いの体温を感じたかった。
あぁ、すき。
大好き。
セックスはしなくても生きていけるけど、この人の体温に触れないと生きていける気がしない。
毎日一緒に寝ていたのが懐かしく感じるほど、実家では別々に過ごした。
いまは、全身で彼を感じたかった。
熱く燃える体を感じあって、ようやく安心できそうだった。
いつもの日常は、とても大切で。
その毎日が幸せなことだと、よく分かった。
「んっ・・・!あ、した、動けないのは、や。」
「大丈夫、酷くはしないよ。」
美湖ちゃんと遊んだり、元気なら風見さんの実家にも行きたい。
風見さんも多分、仕事を残しているから、来週月曜は出社になりそうだった。
あぁ、気持ちいい・・・!
お盆は家族について深く考えさせられた。
そして、ますます風見さんのことが好きになった。
風見小夜になるのは、もう少し先。
そしたら、法的にも家族になれるのだ。
「んんっ!」
熱い。
熱くて、体が沸騰している。
久しぶりの触れ合いに頭の奥が溶けそうだった。
高みへと上っていく。
好きで好きで仕方がなくて、大切で大切で、堪らなく愛おしい。
・・・あぁ!!
整わない息も。
次第にクリアになっていく頭の中も。
そのくせ眠くなってしまうこの時間も。
風見さんとふたりで共有している。
ずっと、ずっと一緒だよ。
抱き合って目を閉じた。
しっとりと濡れた肌は、ふたりの間の些細な隙間を塞いだ。
ずっと、ずっと。
一緒に過ごそうね。
静かな夜、ふたりの繋いだ手の婚約指輪が鈍く光った。
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