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トオルは最高に頭にきていた。
『I want to celebrate my lover's 19th birthday.』
(恋人の19歳の誕生日を祝いたい)
それが意味することは、すなわち、日本へ帰るってことだ。
もちろん、しんちゃんの誕生日は俺だって祝いたい。この前、俺は日本に帰ったばかりだし、エドワードの気持ちも分かる。
分かるけども!
俺だって、貴志に逢いたいんだ!
『Go there together with you.』
(俺も一緒に行く。)
『Tisk, tisk.』
(ダメダメ!)
ムッとした。
しかも子どもに言うように、否定された。
頭ではわかっている。
ひとりはシンガポールに残っていた方が良いと、充分わかっているのだ。
『じゃあ、ストライキだ!』
盛大に拗ねてみた。
ほんの少し、駄々を捏ねたい気分だった。
エドワードより早くシンガポールに異動して、エドワードより長くここにいる。
そして、恋人とは遠距離が始まった。
シンガポールにエドワードから置いていかれて、黙って仕事をしたく無かった。
エドワードはよく、我儘を言う。
その我儘をいつも叶えてきていた。
たまには、俺も我儘を言いたい!
『トオル!』
無視。
日本に帰るなら、山ほどの決裁をひとりで片付けてから行ってくれ。
『トオル、アレハ何処ニアル?』
無視。
エドワードの左の棚だけどね。
『トオル、Laboヘ行キタイ。』
無視。
Laboも行かないといけないけど、その前にボブの話を聞いた方が良い。
ボブは電解水素の論文を読んで、ピンときたから話をしたいとメールが来てただろう?
優先順位、考えろよ。
『嫌だね。collegeなら行く。』
『トオル!』
そんなわけで、軽く懲らしめてやった。
明日には普通に接してやるつもりだけど、今日は無視だ。
そんなトオルにホトホト困りきったエドワードが取った手段は、その恋人を調査するという方法だった。
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