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「晋作くん、何て?」
「やっぱり歌、練習してるって。」
小夜はメッセージのやり取りを風見に見せた。
(番外編忍び寄る手。参照)
「へぇ。しかし、カラオケ大会ねぇ。」
「トンプソンさんに内緒って、トンプソンさんは何で知ったのかなぁ。」
ふたりで唸った。
「ま、いっか。」
「うん。」
ぎゅっとふたりで抱き合った。
「ね、お風呂入ろ?」
「ん。今日は熱海の湯かなぁ。」
「別府にしようよ。」
温泉の素を、毎回どれにするかふたりで決める。
そういうのも楽しくて、幸せだなって実感するのだ。
服を脱ぎながら、小夜は風見を見上げた。
「ん?」
「ううん、なんでもない。」
幸せ。
「学校、良かったな。」
「うん、本当、電話があったとき、飛び上がるくらい嬉しかった。」
髪を洗って、体を洗って。
湿気を含んだ暖かい空気に包まれて。
そして、ふたりで湯船に入る。
「実習、頑張るね。」
「うん、頑張っておいで。」
誕生日にもらったサファリパークのチケットは、まだ使えていない。
行く予定もまだ立てられないけれど、今年の夏は色々ありすぎて、もうパンパンだ。
「・・・秋頃、サファリパークに行けたらいいな。」
「だな。寒くなる前に行こう。」
「うん。」
良いことも、辛いこともあった夏。
それでも、今、こうやって幸せを感じることができる。
風見に背中を預けながら、小夜は大きく息を吐いた。
「暁さん、ありがとう。」
「ん?どうしたの、急に。」
「ううん。」
いま、こうして生活できるのは、風見さんが居てくれたから。
だから、忘れない。
感謝の気持ち。
「幸せだよ。」
そう言うと、背後からギュッと抱きしめられた。
ポカポカの体が、とても気持ち良かった。
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