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「飲みに行ってたんだ?」
『うん。・・・今度、一緒に行こうね。』
エドワードを車に乗せて帰ってきたトオルは、冷蔵庫からビールを開けながら貴志に電話をしていた。
「俺のボスが日本に来週帰るんだ。」
『・・・へぇ。』
喉を通っていくビール。
でも、やっぱり日本のビールの方が美味い。
ついこの間帰ったばかりだというのに、すでに日本が恋しかった。
いや、
「貴志に逢いたい。」
『俺も・・・。』
貴志を抱きしめたかった。
「本当は、ボスと一緒に帰りたいんだけど、今回は帰れなさそうで。・・・貴志、キスして。」
そう言うと、貴志は咳き込んだ。
初心な恋人が可愛くてならない。
「な、貴志って、ネコだよね。」
『う、うん、・・・シタ事ないから、分からないけど。』
俺もネコだ。
その事は、まだ貴志には言っていない。
タチ役が出来るか、不安があった。
「そっか。・・・早く逢いたいよ。」
『うん。』
初めてのセックスみたいだ。
子どものように、手探りのセックスにならないようにしなければ。
『その・・・なにか、準備したほうがいい?』
消え入りそうな声を出す貴志のことが愛おしかった。
「何もしなくていいよ。俺に任せて。」
『うん。』
格好つけて言ったものの、本当に出来るのかは分からない。いざ入れようとしたら、萎えるかもしれなかった。
それでも、好きという気持ちは間違いないし、入れるだけがセックスじゃない。
最初は、そんなセックスでも良いんじゃないだろうか。
実際、貴志とは唇を合わせただけでも充足感があった。
満ち足りた心に、勝るものはないのだ。
「好きだよ。」
『お、俺も。俺も好き。』
ほら、この言葉だけで、胸が温かくなっていく。
遠く離れた日本にいる貴志に、トオルは心を込めてキスを送った。
------------※ ※ ※------------
あぁ、甘くて倒れそう!
トオルさんからの毎晩の電話に、身悶えしてしまう。
貴志は、トオルの低い声にゾクゾクしながら携帯を耳に押し当てた。
『な、貴志って、ネコだよね。』
「う、うん、・・・シタ事ないから、分からないけど。」
セックスの話。
本とか動画でしか見たことのない未知の世界で、不安だけど、同時に夢見てしまう。
実際、トオルさんの唇の温かさや、分厚い舌が割り入れられた時のことを思い出すと、下半身が熱くなる。
ソウイウコト、スルンダヨネ。
「その・・・なにか、準備したほうがいい?」
体の準備とか、何かの道具とか。
全然想像つかなくて、真っ赤になった。
『何もしなくていいよ。俺に任せて。』
そう言ってもらえて、ホッとした。
そして、抱かれることを想像して、ぱたんとベッドに倒れ込んだ。
やだやだ、恥ずかしい!
「お、俺も。俺も好き。」
一生分の好きという言葉を使っている気がする。
「トオルさん、大好き。」
『ん。』
まだ付き合いはじめて、ほんの少し。
そして、まだキスも数えるほどしかしていない。
でも、この距離が離れているせいで、次に逢った時には抑えきれなくて、ソウイウコトをするってお互いに分かっていた。
滅多に逢えないから、余計に恋しい。
『風呂、入った?』
「ううん、まだ。」
『俺もまだだから、一緒に入ろうか。』
「・・・うん。」
電話の終了の合図。
でも、離れていても同じことが出来る。
「じゃあ、また明日ね?」
『ん。貴志、おやすみ。』
「おやすみなさい。」
シンガポールと日本でお風呂に入る。
そして、そのあとは寝るのだ。
時差1時間の距離だけど、いまは同じことをやる。
電話を切ってから、携帯をギュッと胸に抱いた。
待っててね。
貴志はエドワードとの会話を思い出しながら、お風呂に入るために立ち上がった。
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