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辛くても、悲しくても、苦しくっても、朝はやってくる。
ソファで寝た体はギシギシと痛んだ。
まだボーッとする頭で、悠は周りを見渡した。
「・・・はぁぁ。」
最低だ。
泣き疲れて、店でそのまま寝たらしい。
のそりと起き上がって、水を飲みに立ち上がった。
タカへの気持ちに気付いてから、過去の古傷ばかり傷付けられて開いていく。
これも、半端な自分の自業自得なのかもしれなかった。
恋愛なんて世の中には存在しないと豪語して、タカの目の前で一晩限りの男を漁っていた。
本当は、人一倍、愛情に飢えていたくせに。
誰かを好きになるのが辛くって、一晩の相手を求めた。そうして一番欲しい相手を失うなんて、俺らしくって反吐が出そうだ。
そして、諸悪の根源から施しを受けるなんて。
置きっぱなしのカルピスのペットボトル。
悩みながら手を伸ばした。
何考えているのか、分からない。
突き放して、他の男の肩を抱きながら消えた彼の事が、本当に分からなかった。
カルピスのペットボトルを捨てるに捨てれないのは、甘い記憶が残っているからだ。
・・・未練ってやつなのかな。
傷はどっちが深いんだろうか。
先輩から捨てられた時も、叶わなかったタカへの気持ちも、どちらも血を流し続けている。
小さく丸まって、布団にくるまりたかった。
そして、そこから出なくて良い世界になって欲しかった。
・・・あ、メール。メール送んなきゃ。
今度こそ間違えないように、オーナーへとメールを送り直した。
とりあえず、帰らねぇと。
重い体を引きずるようにして、悠は店を出た。
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