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全く、どうなってるんだ。
風見は、痛むこめかみを摩った。
鈴谷の営業日誌を確認した。
『時間通りにお客様のもとへ向かった。馬の耳のように大きな耳で、馬の体のように略どう感のあるメリハリの効いたお話をしようとしたら、忙しいと追い出された。またチャレンジしていきたいです。』
なんじゃこりゃ。だ。
こんなの営業日誌でもないし、略どう感って躍動感てことか?だし、馬ってどこからやってきたんだ!!だ。
不思議ちゃんの鈴谷らしい、不思議な営業日誌だが、これは見過ごす訳にはいかない。
全く、加藤の下で何を見てきたんだ?!
「おはようございまーす。」
能天気な挨拶をしながら入ってきた鈴谷に、イラッとした。
腹の中の怒りをグッと抑えつつ、風見は笑顔で挨拶を返した。
し、始業前だ。
まだ耐えろ。
「今日も昨日のTrance様に行ってきますね。」
ピクッ。
「その事で、後で確認したいことがあるから、9時に打ち合わせ室に入ろう。」
「はい!」
あぁ、悪びれていない。
全く分からないのだ。
落ち着け、落ち着け、相手は新人だ。
平成生まれでまだ世の中のことを勉強中なのだ。
・・・小夜も平成生まれだけどな。
そう、小夜も平成生まれだ。
鈴谷とは1コしか変わらない。
なのに、小夜の方が大人びてみえるのは恋人の欲目からだろうか。
「ふんふふーん、ふふふーん、ふふふーん。」
鼻歌を歌い出した鈴谷を見て、眉間に皺が寄った。
いかん、比べると後悔する。
・・・全く、代表は鈴谷の何が良くて声を掛けたんだろうか。
何にしろ、営業日誌の書き方から鍛え直さないと。
風見は眉間の皺を無理矢理伸ばすと、打ち合わせに使用する資料を準備した。
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