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そんな訳で、小夜は乗り掛かった船とばかりに悠さんのお見舞いにやってきた。
これには、多大に貴志の母親の意向が入っている。
『だって!私だってその悠ちゃんに会いたいわ!健気じゃない?でも、横恋慕の相手を本命の前に見ちゃって、そっちを応援したくなったら、ほら、アレでしょ?だから、絶対に様子を見てきて!あの人には言っておくから!』
あの人とは、即ち、篠崎のおじさんのことだ。
『やだわぁ。うちの息子がモテちゃって!母さん、嬉しい!』
と、乙女になった。
小夜は、そのテンション高い朝からの電話に苦笑しながら了承し、事務所にかかってきたその電話をおじさんにまわした。
おじさんは最初、眉の間に皺を作って返事をしていたが、そもそもその元凶は息子だと分かっているため、最後は肩をすくめて笑いながら電話を切った。
「・・・すまんね、身内のことに巻き込んで。」
「いいえ!おれでお役にたてるのであれば。」
事務所のおばさんは、ぐるりと部屋の中を見渡して新聞の束を持った。
「小夜ちゃん、入院長引くようなら新聞持って行ってあげる?」
「や、それは・・・。」
迷惑と思われるか、喜ばれるか、それこそ紙一重だ。
「それなら六法全書の古いやつ持っていくか?」
もう!おじさんまで。
「大丈夫です、なにか暇を潰せそうなものを貴志さんと相談して持っていきますね。」
という訳で、時間休を取った貴志さんと本屋さんで雑誌を数冊買って、待ち合わせした山田さん(智樹の方だ)と3人で病院へと向かった。
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