アダルトコンテンツが含まれます。
18歳以上ですか?
- 文字サイズ:
- 行間:
- 背景色:
-
174
-
ナースステーションで、とまちゆうきの部屋を確認した風見は、深呼吸をしたあと扉をノックした。
「失礼。」
返事を待たずに病室に入ると、そこには予想外の人物たちがいた。
「あれ、暁さん?」
「あら、風見さん。」
手を握り合っていた山田さんと小夜に、まず仰け反った。
次に果物ナイフを握った、もぐらの店長の姿を見てサッと青ざめた。
ナイフの刃先は、はなれで篠崎さんから振られたNon江戸っ子男性に向けられていたからだ。
!!!
「早まるな!!」
「ええ?!」
思わず、パソコンの入った鞄を放り投げた。
「ぎゃ!!」
急に投げられた鞄に、悠が悲鳴を上げた。
「お前が犯人か!」
風見は、もぐらの店長につかみかかった。
「ええ?!暁さん、やめて!」
後ろで小夜が慌てた声が聞こえたが、ナイフで脅していた現状がある。
いま手を緩めるわけにはいかなかった。
「ちょ、え?!」
驚いたのは、悠の方だ。
思いっきり投げられた鞄は、律がバレーの要領で叩き落とした。
その落下点が、悠の腹だ。
ううっ!!!!
声にならない悲鳴をあげた。
カシャン!
律の手から落ちた果物ナイフが床を滑って壁に当たって止まった。
頭上で繰り広げられるカンフーもどきの攻撃は、まるで猫パンチの応酬だ。
その度ごとにベッドが軋んで傷に響いた。
「ま、ままま、」
「はい!」
悠の言葉に、智樹が目を丸くしながら返事をした。
「待って、俺、病人!」
風見は猫パンチ応酬をしながら、ハッとした。
「ゆうきちゃんは、どこだ!」
叫ぶと、みんなから叫ばれ返された。
「「「目の前!」」」
やっぱりお前か!
風見は目の前の律をロックオンした。
小夜は、繰り広げられた光景に唇を押さえながら、よろりとたたらを踏んだ。
「大丈夫?」
山田さんが優しく肩を支えてくれて、どうにか気持ちを保った。
意味が分からなかった。
だって、いきなりリツさんに襲いかかったのだ。
みんなで遊ぼうって話をしていただけなのに。
「あ、ぁぁ、」
温かい山田さんの手。
肩に置かれた大きな手の上に、小夜はそっと手を重ねた。
ありがとうございます、勇気が湧いてきました。
驚いたのは、病室に戻っていた貴志だ。
風見さんがやってきたのに、このふたりはイチャイチャをやめない。
手を重ねて微笑み合うのだ!
もう我慢の限界だった。
「だ、だめ!!」
!!!
小夜を突き飛ばした。
現在の設定
文字サイズ
行間
背景色
×
174 / 343