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その歪みはなんでしょう
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翔吾の家に入りリビングを見渡すと、荒れていた。1週間でここまで部屋を汚せるのもある意味才能だと思う。ゴミ箱を見るとコンビニ弁当の山だった。俺はため息をついた。
「翔吾…お前どうやったからこんな直ぐに部屋を汚せるんだよ。それにコンビニ弁当しか食べてないじゃないか、少しは自炊した方がいいぞ。こんなんじゃ結婚出来ないかもしれないぞ」
オカンばりに説教をする俺に翔吾は呑気に答える。
「結婚するつもりないからいいよ〜悠ちゃん俺のこと養ってよ〜」
「ばか」
料理の前に部屋掃除にとりかかった。掃除をしていたらあっという間に夕食の時間になっていた。
「翔吾、俺が料理作ってる間風呂入って来いよ。さっき沸かしておいたから」
「ん、は〜い」
俺は慣れた手つきでオムライスを作る。
小学生の時、翔吾の両親が亡くなって、翔吾の元気が無くなってしまった時があった。その時に初めて作ってやったのがオムライスだった。当時の俺はまだ料理なんかしたことなくて、だけどなんとか翔吾を笑顔にしたくてオムライスを作ったのだが、包丁で切り傷をたくさん作った俺の手を見て翔吾が泣きそうになっていた。けれど泣きながら笑って、翔吾は、美味しい、美味しい、と下手くそなオムライスを頬張ってくれた。あの時の翔吾の顔を見て、俺が支えると心の中に誓った。
「痛っ」
考え込みながら野菜を切っていたため、久しぶりに手を切ってしまった。軽く水ですすいで、絆創膏を指に貼った。
オムライスが出来た頃に丁度翔吾も風呂を上がってきたため、出来たての温かい状態で食べることが出来た。テレビのバラエティ番組を見ながら、2人で食事をした。翔吾はいつも美味しい、ありがとう、と言って笑顔で食べてくれるので、自分としては少し嬉しかったりもする。
「は〜美味しかった!ごちそうさまでした。悠ちゃんもお風呂入ってきちゃいなよ」
「ああ」
「もう風呂場にパジャマ置いてあるから〜」
「分かった」
脱衣所で制服を脱ぎ、風呂に入った。湯船に浸かると気持ちよくて、危うく眠ってしまいそうになった。風呂から上がりリビングに戻ると翔吾がソファに座ってテレビを見ていた。俺に気づいた翔吾がこちらを見る。
「あ、悠ちゃん、長かったね」
「ん、気持ちよくて」
「そっか、良かった。そうだ、ゲームでもする?」
そう言って取り出したのは最近流行りのテレビゲーム。まぁ、たまには悪くないか。
「いいな、やるか」
「よっし!じゃあゲーム起動させるね〜」
この広い家に2人だけ。ゲームの無機質な音だけが部屋に広がった。ゲームは中々に面白い内容のもので、気づいたら1時間以上プレイしていた。と言っても、まだ九時過ぎなのでまだまだ夜はこれから、と言ったところだ。俺は翔吾の家に来ると気づいたらいつもこの時間頃には寝ているらしく、夜の記憶はあまりない。金曜日だからいつも疲れているのかもしれない。
「ちょっと俺ジュース取ってくるね〜」
ゲームもひと段落して翔吾が飲み物を取りに行った。
「ほい、これでいい?」
コップに注がれたオレンジジュースを2つ持ってきた翔吾は片方を俺に渡した。
「ああ、ありがとう」
ジュースを受け取って、飲んだ。まだ冷たいオレンジジュースが喉にじわぁと拡がる感覚がした。
ジュースを口にしてすぐ、俺は強烈な眠気を感じて、翔吾の手前ながら、目を閉じてしまった。
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