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その歪みはなんでしょう
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何事もなく普通に別れ、俺は翔吾の家を出て、自分の家に帰った。久しぶりに帰ると家の匂いが新鮮だった。中からは美味しそうな晩御飯の匂いがした。俺がリビングに顔を出すと、料理中の母がこちらを向いた。
「あら、おかえり悠。どうだった?」
特に意味もなく問いかける母に、俺は少しドキンとする。
「…別に、変わらないよ。いつも通り」
「ふーん、そっか。翔ちゃん元気なら良かったわ」
そう言って料理を再開した。
俺は2階にある自分の部屋に戻りドサッとベッドに倒れ込んだ。この休日を挟んで、色々とあり過ぎた。1人になって静かな部屋で考え込むと、余計なことまで沢山思い出したり考えたりしてしまう。ベッドから起き上がり、机の上に飾ってある1枚の写真に手を伸ばした。俺と翔吾がまだ小さかった頃の写真だった。夏に花山家と松川家でキャンプに出かけて、その出かけ先で撮った写真だった。まだあどけなさが残り、綺麗な歯を出して楽しそうに肩を組みながら笑っている写真。俺はもう、この頃には戻れない気がしていた。それが少し、寂しくて、怖かった。翔吾とセックスをして、初めは抵抗していたが、最後には翔吾の許されざるその行為に答えるような対応をとってしまった。つまりあの行為は同意の上であったと言ってもおかしくない。そして一緒に風呂に入った時に、好きだと言われた。あれがどういう意味で言われたことなのか、分からないほど馬鹿じゃない。はぁ、と大きくため息をついて、俺はベッドに転がり込んで、先程あんなに寝ていたにも関わらず、また眠ってしまっていた。
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