アダルトコンテンツが含まれます。
18歳以上ですか?
- 文字サイズ:
- 行間:
- 背景色:
-
その歪みは恋かもしれない
-
朝、起きると、身体がだるくて中々ベッドから起き上がれなかった。普段寝覚めの悪いことなどない俺は、自分の身体を頑張って奮い起こして身支度をした。
普段は朝8時に家のチャイムがなって、玄関の前で翔吾が待っている。が、今日はそれが無かった。この土日のことがあれば、まぁそうだろう。俺は1人で学校に向かった。結局歩いている途中に翔吾に会うことも無く、俺は学校に着いた。校門を入って昇降口の下駄箱に向かう。なんとなく周りを見渡すが、アイツの姿はどこにもない。モヤモヤと安堵があった。正直、今どんな顔をして接すればいいのか分からない。もう幼なじみとして翔吾を見れていない自分がいるのと同様に、アイツも俺のことをもうとっくに幼なじみとしては見ていないだろう。その関係の変化に対して素直に順応することが出来ない気がしていた。翔吾とはクラスも同じで、教室に向かえば自然と顔を合わせることになる。それがなんとなく気が引けて、足取りが重くなった。とぼとぼと歩いていると急に後ろから肩を叩かれた。驚いて身体をビクッと跳ねさせて振り向くと、そこにはよく知った知人の顔があった。彼は小林 賢明(こばやし けんめい)。同じクラスで、高校に入ってから仲良くなった友達だった。とても爽やかで…なんていうかまあ、モテる。笑顔が素敵だし、優しいし、スポーツをしてる姿なんてとてもカッコイイ。俺の周りはなんでこう、恵まれている人が多いんだろう。
「よっ!悠!おはよう!」
「おう、おはよ」
2人で歩みを並べる。自然と先程の重苦しい気持ちは無くなっていた。小林は爽やかな笑顔を浮べて話し始めた。
「お前なんでこの休み中連絡くれなかったんだよ!ボーリング誘おうと思ったのに!」
俺の心臓は跳ね上がった。
「…わりぃ、ちょっと忙しくて」
「んー、そっか、それならしょうがないか」
ニコっと笑った時に覗く左の八重歯が彼の愛嬌を引き立たせた。そうこうしているうちに、教室に辿り着いた。小林が自然と中に入っていくのに続いて、俺は重い足を1歩教室に踏み入れた。翔吾の席のある前の方を見ると、翔吾はもう来ていて、クラスメイトと楽しそうに会話をしていた。翔吾はこちらが見ているのに気づいて、一瞬こちらに視線をやって目が合った瞬間パッと目を逸らしまた友達と楽しそうに駄べり始めた。今…逸らされた。
「悠?どした?」
「ん…いや、なんでも」
俺は後ろの方の窓側の席に座る。俺の席の後ろが小林で、俺たちは朝の時間世間話に花を咲かせていた。
現在の設定
文字サイズ
行間
背景色
×
31 / 52