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その歪みは恋かもしれない
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チクタクと時計が秒針を刻む。
薄暗い部屋の中、俺はゆっくりと目を覚ました。
周りを見ると、そこは翔吾の部屋だった。驚いて起き上がると、ベッドの横で翔吾が胡座をかきながらうたた寝をしていた。首がコクリコクリと動いて静かに眠っている。自分の身体は腰が痛むものの、きちんと綺麗にされていて不快感はなかった。こいつがやってくれたのか…。しかも学校からここまで運んでくれたのもきっとコイツだ…。つい先日、ここで翔吾と沢山セックスをした。俺たちの関係がハッキリと変わってしまった場所。悲しい思いと同時に、翔吾を視界に入れると少し胸が痛んだ。小学生の頃に両親を亡くして、けれど頑張って生きていて。俺はそんな翔吾を尊敬すると共に、これからも守ってやりたい、という気持ちは変わっていないことに気がついた。目を閉じた翔吾の顔は綺麗で、だけど愛嬌のある顔で。小さい頃から変わらないその表情を見てなんだか安堵してしまった自分がいた。
「相変わらずだな…」
俺はそう言って微笑みながら、気づいたら翔吾の頭に手を伸ばして、頭を撫でていた。髪がフワフワで気持ちいい。
「ん…ゆう…ちゃん…?」
目をしょぼしょぼとさせた翔吾がゆっくりと起きる。
「起きたか」
「ん…悠ちゃん…その…」
「何だ」
「…ごめん」
翔吾からの突然の謝罪に少し驚き俺は閉口した。
「失神させるまでやるつもりじゃなかった。やり過ぎた、ごめん」
「…あー、いや、いいよ」
自分の口からまさかそんな言葉が出るとは思っておらず、自分でも驚いた。そして俺の口は動き続ける。
「お前が俺のことを好きって言うの、正直まだ…信じらんねぇし、受け入れきれねぇ。あの行為を完璧に許してやったわけでもない。けど…お前の傍にいてやりたいって気持ちは、多分、これからも変わらない…と思う」
翔吾は俺の言葉を聞いたあと、ぽろぽろと大粒の涙を流した。そして俺に歩み寄って、ギュッと優しく抱きしめてきた。
「ありがとう、悠ちゃん。俺、もう悠ちゃんにひどいことしない。ちゃんと大切にしてちゃんと好きになって貰えるように頑張る」
俺は男が好きな訳でもないし、正直付き合えるかと言われたらまだNOな気がする。だけど翔吾なら…もしかしたら、と思ってしまう自分もいた。
俺は静かに翔吾の言葉を聞いてから、ゆっくりと翔吾の背中に腕を回して抱き締め返した。
この時俺は、幸福感に満ちていた。
しかし、後に翔吾の愛がどれほど歪んだものなのか理解する日がやってくる。
そして、驚きの出来事も。
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