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罪【宮下雪視点】
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宮下 雪
僕は14歳の冬、人を殺した
しかも実の親を
到底許されるべきではない
なのにいつまで経ってもあの人の温もりが忘れられなくて
罪人であるにもかかわらず体は熱に疼くばかりで
罪を償わなければいけない場所である少年院でも性暴力を受ける度に辛くなんてなくて、寧ろご褒美のように感じた瞬間だってあった
“頭がおかしい”
いつかの昼下がりにリビングで汚物を見る様な視線を向けられながら母親から言われたことがあった
本当に、その通りだと思う
僕は母親の大切なもの全てを奪ってしまったのだから
父親であるお父さんの愛を一心に受けてしまった
罪深いこんな僕に周りはなぜか恵まれた環境ばかり与えてくれた。
昨日の夜、僕の醜い姿を晒してしまったにもかかわらずに朝から優しく接してくれていて
その上に、刑事の中谷さんにカウンセラー兼、家庭教師を頼まれたようだった
「雪は成績良かったって中谷さんから聞いてるけど、勉強面での悩みとかは無かった?」
2人で買いに行った文具をリビングのテーブルに広げていると
隣に座りかなり使い込まれている手帳を開きながら瞬兎さんに質問をされた
「そうですね…確かに授業を受ければ大体のことは理解できたので特には」
「そうか、じゃあ復習を軽くやって分からないことが出てきたら丁寧にしていく感じにしようか」
昔から成績は良い方だとは思う
今思えば家に帰っての勉強もお父さんに褒めてもらうのが嬉しくて自主的にいつもしていた
ーーーーーーーー
「今日はここまでにしておこうか、お疲れ様」
そう言われて時計を見ると3時間も経っていて
久しぶりに誰かと勉強をして時間が早く感じるほど没頭していたようだ
瞬兎さんの教え方はとても上手だと思った
分かりやすくて質問しやすくて、なにより楽しい
「ありがとうございました、もうこんな時間なんですね」
「雪の集中力が凄くて休憩無しでついやっちゃったけど…ごめんね」
そんな話をして軽く夕食を済ませシャワーを浴び寝室に入る
なんだかこのマンションに移動してきてから初めて充実した日を過ごした気がしてベッドの中に入った後も余韻に浸かっていた
罪人の自分が充実なんて言葉を使うのはどうなのかとは思うけど
この先、自分がどうなるかは分からないけど、何かを学んで知識を増やせば選択肢も広がるのかも
こんな性的欲求の塊の様な自分でも、何か人の役に立てる何かをできる時が来るのかな
「おやすみ、雪」
「おやすみなさい…」
…
「…瞬兎さん…?
瞬兎さん、起きてますか
…昨日の僕を見て、どう思いましたか」
隣のベッドに寝ている瞬兎さんを見て自分も寝ようと思うものの途端に昨日の夜、瞬兎さんに見られながらのオナニーを思い出しなんとなくの気持ちで聞いてみた
「んっ…うーん、正直なところびっくりした」
「汚いとか思いませんでしたか」
「それは無いよ、雪は綺麗だよ。」
「僕は…、僕はそう思いません。だって、僕は少年院でも同じ事をしてきましたし」
好きになったわけでも無い人の前でもお父さんに見せていた姿を曝け出してしまっていること、瞬兎さんは手を出さずに見守ってくれていたけど
もしも手を出されていたとしても自分はそれを利用して欲望のままに乱れていたに違いない
するとずっと気になっていた様で切り出す様に
「あのさ…、少年院でのこと、少しずつでも良いから聴かせてくれないかな」
瞬兎さんがベッドから起き上がり僕の寝ているベッドに腰掛け軋む
「良いんですか、きっと吐き気のするくらい醜い話ですよ」
「聞きたいんだ」
真っ直ぐに目を見てくる瞬兎さん
あぁ、この人はきっと仕事だとしてもちゃんと人の話を真剣に聞いてくれる根からの良い人
僕の汚い部分知って離れないでいてくれるのかな
それとも、次の日から違う誰かが僕の担当にでもなってたりするのかな
そんな事をぼんやりと考えながら少年院で起こった出来事を語りだしていた
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