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暫くしてバスが停まり、ドアの前に立って居た割腹の良い白人の男が声を張った。
「良く聞け!お前達!!、お前達にはこれか此処で様々な訓練を行ってもらう!!それにあたり、幾つかのルールが有る。
一つ、お前達に拒否権は無い。
二つ、起床、食事、風呂、就寝等は全てが管理されている。特に、食事はその時間に居ない者には与えられない。
三つ、訓練開始時間は厳守だ。守らなかった者にはそれ相応の罰があると思っておけ。
四つ、此処では教官が絶対だ。俺達に逆らう事は愚か、口答えも許されない。
分かったら返事をしろ。」
あたまの悪い規則だと思った。
阿呆らしい。
座席に座らされている青年達はどうしたら良いか分からないといった様子で返事をするか否か迷っている。
そうこうしているうちに、先程の大男が怒鳴った。
「返事をしろと言ったんだ!!話を聞いてい
なかったのか!!」
その余りの剣幕に、皆声は揃わないものの大きな声で返事をした。
「良いだろう。俺はトーマスだ。お前達の体術関係の訓練の教官をする事になっている。
分かったか!」
「「「はい!!」」」
最早、何が何だか良く分からない光景だ。
集団心理なのか死を前にした本能的なものなのか今度の返事は声がぴったりと揃い、大きなものだった。
教官殿はそれに気持ちの悪い笑みを浮かべてご満悦な様子。
ロメオはトーマスと名乗った教官の話を聞きながら、格子越しの景色を眺めていた。
(……此奴らは何が目的なんだ?)
目的が無ければ、態々人を攫ってきて軍事訓練を受けさせる必要は無い。
(ゲリラか、カルト集団か……もしくは薬の密売組織?)
窓際に肘をついて考えていると、右の肩を誰かに叩かれた。
「Hey! ……」
隣の細身の白人の男が英語で話しかけてくる。
「ねえ、あんた、如何して怖く無いの⁈返事しないと殺されちゃう!」
「そう思うのならもう少し声を抑えろ。俺を心配しているつもりなら、黙って放っておいてくれ。それが一番助かる。」
「………ごめん…。」
「……泣くな。こう言うところでは泣いたら駄目だ。付け込まれる。」
「心配してくれるの?」
「さっきのお返しだ。取り敢えず俺にはもう話しかけるな。」
ただ面倒を回避しただけのことにお隣さんは痛く感動した様だった。
再び窓の方に顔を向け、何とか煩いトーマスの怒鳴り声を耳に入れる。
(畜生が。)
どうやら、これから連れて行かれるのは相当な閉鎖空間のようだ。
窓の外にはまるで樹海の様に森が広がり、その森に匿われる様にして、白い無機質な建物が建っていた。
敷地内とその外を仕切るであろう塀には刑務所顔負けな程に有刺鉄線が張られ、壁には赤い文字で“Don't touch it . It's dangerous !”と記されている。
その文字から、有刺鉄線に高圧電流が流れているであろう事は容易に想像できた。
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