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レオとユキハの話から、ギルはここに居る男達のまとめ役を任されている事を知った。
「あの見た目でリーダーなんて、大変だな。あいつ……。」
「ああ。少し前に、ライアンって言う2メーター越しの大男が居たんだ。そいつがまた好きものでな。ギルみてぇなクールで男らしいのを組み敷くのが良いってんで、夜這いをかけたのさ。」
「んで?どうなった?」
ロメオは答えの分かっている質問をする。
「分かってんだろ?ギルはナイフを隠し持って居た。ほら、暗殺用のやつだ。」
「それで?」
レオの表情が不意に真面目になる。
ユキハが言った。
「腎臓を前と後ろから刺して殺した。ダガータイプの暗器ナイフだったからな。即死だ。俺も死体検分の為に見たが随分お綺麗な死体だったよ。あれは人の殺し方を熟知したやり方だった。」
話の内容からしてユキハは医学の心得があるのだろうか。
後で聞いてみることにしよう。
「それから、誰も奴に楯突かなくなった。教官長……此処ではマスターと呼ばれている人がいてな?彼がギルの力を買って奴をまとめ役に任命したんだ。」
レオが付け足す。
「此処は殺しても罰されたりはしないんだな。」
「ああ。逃げようとしたり、何か規則を破ったりすればムショの様に独房に監禁されるが、殺傷については自己防衛が認められた場合と訓練中の“事故死”に関してのみ罰則はない。」
「それ以外の喧嘩とかで殺しちまうのは別だがな。」
「へぇ、どうなる?」
「訓練の時に死ぬ程危険な条件で参加しなければならなくなる。死刑宣告同然だな。」
「目には目を、歯には歯をってことか。」
「まぁ、そうだな。だからお前も殺しはしない事だ。」
そう言ったレオの言葉を聞きながらいよいよこの組織の目的が分からなくなる。
「ああ、肝に銘じておくよ。」
連れて来た奴らをわざわざ殺す様な真似をしてまで訓練を受けさせて一体どうするつもりなのか。
微温湯の中での生活で鈍っていた本能と育ての親に磨き上げられた勘が鋭く尖って行くのがわかる。
「そういえば、2人は何で今日訓練に参加してねーの?」
「此処の訓練にはランクが有ってな。週1の休みはランク毎に異なるんだ。」
「因みに、AからEのランクの中でAが一番上。ランクが上がれば上がる程、訓練はきつくなるが、この施設での待遇は良くなる。
俺たちはランクB、ギルはAだ。」
「ふーん……。レオ、あんた、手抜いてんだろ?」
「へぇ、なんでそう思った?」
「あんたからは強そうな匂いがするからな。大方、ユキハが危なかったら庇うつもりでBにいるんじゃね?」
ユキハが驚いてレオを見る。
しまった、初対面で少し出しゃばった事を言ったかもしれない。
しかしレオは優しくユキハの頭を撫でてそれを否定した。
「まあ、こいつと一緒に居たいってのもあるが、Aの訓練は本当にきついからな。そんな真面目に死にに行く様な事したかねぇ。」
「そうか……俺はどのランクにやられるんだろうな。」
「まあ、最初はEだろう。初日の訓練を見て教官がそれぞれのランクに割り振る。」
「へー、それはラッキーだ。」
「頑張れや。」
ラッキーといったロメオを見てレオは苦笑を浮かべ返事を濁した。
ギルの言葉からも、レオとユキハの態度からも此処の訓練はやはり相当きつい様だ。
(面倒な事は嫌いなんだがな……。)
だが、やはり自分は闘いや面倒事に縁のある人間らしい。
それに、戦う事自体は嫌いじゃないから困ったものだ。
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