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(ギルと煌夜は似ているが、煌夜の方が日に焼けていたし、右目の瞼にナイフで割かれた様な傷があったよな。それに、彼の髪は俺と同じシルヴァーブロンドだった。)
本人曰く、彼もまた幼い頃に捨てられていたところを育ての親に拾われたらしい。
煌夜自身は白人だそうだがその育ての親がジャパニーズだったのだと言う。
『だから俺の名前は煌夜なんだ。煌く夜。満天の星空の事だと言っていた。ロマンチックだろ?』
普段は表情の乏しいその顔が名前の話をする時には決まって綻ぶ。
その顔を見るのが好きだった。
「どうした?ロメオ。」
「いや、育ての親の事を思い出していた。煌夜って名前で俺の名付け親でもある。」
「お前の名付け親は随分とロマンチストなんだな。情熱的な人、芸術家……。誠実そうなお前にはぴったりだ。」
「ああ、ロマンチストで、強くて、孤独で、孤高で、彼は俺の自慢の父親だった。」
何気なく素直な言葉を口にする。
皮肉の混じっていないやり取りは何時ぶりだろうか。
「馬鹿、皮肉だ。」
ふと、ギルと普通に会話ができていることに気づく。
冷たいながらも、少し朝より纏う空気が柔らかい。
「……何だ?そんなにガン見されていたら穴が開くぞ。」
「いや、なんでもない。」
「いいや?何故?」
「……得体の知れない生意気な新入りと仲くお喋りしてくれる程度には機嫌がいいみたいだから。」
どうしても空回る。
どうやらギルには得意な作り笑いと皮肉が効果を発揮しない様だ。
何故かは分からないけど。
「お前は……」
ふと、頭に大きな手が置かれた。
その手は俺の髪の感触を楽しむように優しく動く。
「どうしたんだ?ギル」
「いや、気にするな。それより、飯を食いに行こう。」
「ああ。」
何だか話をはぐらかされた様な気がしないでもなかったが、ギルと共に朝行った食堂へ向かった。
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