アダルトコンテンツが含まれます。
18歳以上ですか?
- 文字サイズ:
- 行間:
- 背景色:
-
17.
-
(やっぱり美味い……。)
味こそ薄いものの、やはりここの食事は栄養バランスが取れていて、食材も比較的良いものを使っている。
少なくとも、煌夜に置いていかれた後数年の食事と比べれば何倍も良い。
(本当に……何が目的なんだろう。)
未だ分からないことが多かったが、この組織には必ず何かがある。
「そういえばギル」
「何だ?」
俺は目の前で黙々と味の薄い夕食を食べているギルに話しかける。
相変わらずの読めない表情だ。
しかし、考えて居ることはなんとなく分かる様になってきた。
この表情は、(何だ?早く言え)だろう。
「いや、大変な訓練だと言う割にギルは疲れていないなと思って。」
「そりゃ、2年も居れば慣れるさ。」
「そんなものなのか………。」
「言っておくが、だからと言ってここの訓練を甘く見るなよ?下手したら死ぬ事だってあり得る。」
ギルの顔が曇った。
「本当に、上は何を考えているんだ……」
「上?」
「マスターの事さ。ここの責任者だ。」
「ああ、ユキハの言ってた……。」
「ところでお前、レオとユキハと親しくなったなら俺の話は聞いたのか?」
「んーん。ギルの事は自分で奴に聞けってレオもユキハも教えてくんなかったから聞いてねぇ。」
「じゃあ知っておくべきだな。ロメオ、お前、同性愛者に偏見は?」
ギルが人を食った様な笑顔を浮かべる。
「別に無いけど?」
「ほう?迂闊に俺に寝顔を晒さない事だ。俺はゲイだからな。お前はタイプじゃないがあんまり疲れて相手を探すのが面倒だったら食っちまうかもしれない。」
俺は特に何とも思わなかった。
なるほど、そういう事か。
やはりギルからは人をひれ伏し、服従させる素質を感じる。
絶対的な、動物が本能的に感じるカリスマ性とでも言えばいいのだろうか、そんな何かが……。
それはそういう事だったのか。
雌だけでなく雄も自らの下に組み伏せる。
生来の性質。
昔の恋人の言葉を借りるなら「アナタの思うままにして」と言いたくなる様な。
尤もこの言葉はロメオに当てられたモノだが……。
「別に俺は気にしない。ギルがゲイだからって、朝はしっかりとギリギリまで惰眠を貪る。それはもう寝汚くな。」
自信満々と言った程で宣言すると溜息を吐かれた。
そんな時、横からレオが口を挟んで来た。
「いや、朝は余裕を持って起きろよ。」
「レオ、」
「先程は済まなかったな。こいつが……。」
レオがニヤリと笑う。
「へぇ?ロメオの代わりに誤ってやるって?」
先程の時間で学んだ。
レオがこう言う顔をする時は相手をからかおうとしている時だ。
「いやぁ、ギルは面倒見が良い。態々ロメオを迎えにくるんだからなぁ。それに、こいつが世話になっただってよ。
良かったなロメオ、ギルはお前の保護者になってくれるらしいぞ?いや、恋人か?」
「へぇ、そりゃありがたい。」
ロメオは食事から視線を上げずにそう答える。
周りが少し騒つく。
ギルは人気者なのだから仕方がない。
ロメオは一気にギルの信者達に睨まれた。
視線が痛い事この上ない。(迷惑な話だ。)
ロメオは軽口を叩きつつギルがどう出るかを観察する。
一体ギルはどう返すのか……。
「生憎、こんな乳臭いガキは俺の好みじゃない。もう少し色気のある……そうだな、お前のフィアンセのユキハみたいな奴なら考えないでもないがな。」
敢えてフィアンセという言葉を用いてギルは軽口を軽口で返した。
ニヤニヤしたままのレオは口笛を吹いて何故か残念そうに言う。
「そうか、ドンマイ、振られちまったなロメオ。」
ユキハの事については触れず、こちらに話題を投げてよこしたレオに俺も反撃する。
「ああ。傷心を癒したいから今夜はユキハママの所に行って慰めてもらうとしよう。」
「なんだと?」
「ほら、その辺にしておけ。3人とも早く飯を食え。」
そこでやっとレオの後ろに立って様子を見ていたユキハの仲裁が入った。
お陰で4人で飯を食うことになる。
現在の設定
文字サイズ
行間
背景色
×
17 / 20