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「あれ…もしかして、菊田浩司くん?」
「ふぎゃあっ!?」
唐突に後ろから声をかけられ、俺は文字通り飛び上がって驚いた。
…そこにいたのは、艶やかな黒髪、抜けるように白い肌、セクシーな泣きぼくろが特徴の…
「ほ、ほほほほほ…」
「ほ?」
俺の推しメン、穂波優成さんだ。
「えっと…驚かせてごめん。…大丈夫?」
頭が真っ白になって固まる俺に優しく声をかける彼。近い。というか顔ちっっっさ…あとなんかいい匂いする…
「あ、あの〜…?」
トリップしかけていた俺は、穂波さんの困惑した表情でハッと我に返った。
「あ、や、だ、大丈夫です!!!すいません!恐縮です!!!」
「えっ?わ、あ、頭上げて…!」
俺達は何をしているんだろう。事務所の前でギャーギャー騒いでいたからか、中からスーツ姿のスラリとした男性が出てきてしまった。
「優成、何かあったのか…ん?君は…」
「あっ佐久間さん…良かった。この子、ですよね?菊田くんって…」
佐久間さんと呼ばれた男性は、一瞬鋭い目を向けるが、穂波さんの言葉を受けてその表情は僅かに和らいだように見えた。
「あぁ、そのはずだが…君、こんな所で何をしてるんだ?」
「え、えっと、事務所に入ろうとしてたら、穂波さんに偶然お声かけいただき賜り申して…」
緊張のあまり敬語がおかしなことになる。いよいよどうしていいのか分からなくなり、ぐるぐるとしていると、
「大丈夫。落ち着いて?佐久間さん、怖い人じゃないから…」
ガッチガチに固まった俺の背に、ふわりと手が当てられる。慌てて見ると、穂波さんが微笑みながら優しく俺の背を撫でていた。不思議な高揚感を残しつつも、心が落ち着いていくのを感じる。
「…す、すいません…えっと、菊田浩司です。騒いじゃってごめんなさい。よろしくお願いします!」
「よろしく。まぁ、緊張もするだろうが…早く中に入りなさい。優成も」
「はい。…よろしくね、菊田くん」
慌ててまた頭を下げると、今度は楽しそうにふふ、と笑っていた。背中に残る優しい温もりが後押しをしてくれたようで、俺はすんなり一歩を踏み出せた。
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