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オトコマエ【5】
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周はひなたを抱き上げたまま更衣室を出ると、そのままいつもの空き教室へ向かった。
教室のドアを閉めると、ひなたを下ろして鍵をかける。
「…あまね先輩?」
開放されたひなたがバスタオルから顔を出して周を見上げた。
そしてぎょっとする。
「せ…先輩?え…なんで泣きそうなんですか?」
きゅ、と眉間に皺をよせ、繭をハの字にし…涙目の周が、まっすぐひなたを見つめていた。
しばらくそうして見詰め合っていると、ぎゅっとひなたの体を抱き寄せる。
「やっぱり、プールなんて止めればよかった。」
「え…」
「ひなたは可愛いから…ヨコシマな目で見る男なんていっぱいいるに決まってる…」
「へ!?いや、ぼく今は男の姿で…」
言葉を紡ごうとするひなたの唇は…周のそれによって塞がれる。
突然の行為に驚きつつ、しっかりと体を固定されたひなたは身動きが取れない。
普段の周に比べると少々荒々しい口付け。
終わるころには少しひなたの息が上がっていた。
「それでも、ひなたは可愛いから…」
「せんぱい…」
とん、とひなたの肩の上に周の頭が乗せられる。
ひなたは…少し呆れたような笑みを浮かべながら、そんな周の髪を優しくすいた。
そしてぎゅう、と抱きつくように周を抱き締める。
…体格差があるために包み込む、とまではいかないが…周を少し驚かせるのにはちょうどいいくらいだ。
「先輩は、たらしで…しかも、ヤキモチ妬きさんなんですねー」
「……そーだよ、そのとおり…」
「でも…全部、ぼくが好きだからでしょ?」
今度は周がひなたを見上げる番。
周と目が合うと、ひなたは幸せそうに微笑んでいた。
「ぼくも先輩が大好きです。だから、ヤキモチは不要だと思いますよ?」
「ひなた…」
ね、と絶対的な自信を感じさせるような笑顔が周を迎える。
(…あぁ、もう…)
「ひなたってば男前…」
「?筧にも言われましたけど、ぼく一応オトコノコですよ?」
「うん、知ってる。」
つい、先日まで「自分が女の子なら」とうじうじ悩んでいた可愛い恋人。
弱音をぶつけて、恋人との意思の疎通を再認識した今…
こんなにも強くなっている、なんて。
「…ごめんね、俺もっとしっかりしなきゃね。」
「え?でも先輩家事も勉強もバイトもしっかり…」
「ふはっ。そういうことじゃなくって……ふふ、やっぱりなんでもないよ。」
「えぇー?」
周は立ち上がり、再びひなたを抱き上げると、いつもの机の上に腰掛けた。
そしてぎゅっとひなたの体を抱き締める。
…とりあえず、今はこの幸せなひと時を楽しむことにした。
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