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シアワセ【1】
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「おはよ、筧!昨日はごめんねー、途中で抜けちゃって!」
「はよ。…まぁ、別に良いんだけどよ…お前の方は大丈夫だったのか?」
…結局、あの電話のあと、ひなたはごめん!と謝り足速に帰宅した。
残された3人も間も無くして帰宅し、ダブルデートは喫茶店のみで終わってしまった。
その後はしばらく音沙汰がなく、夜になって3人に一斉送信で謝罪の言葉だけが送られた。
心配そうにひなたの顔を覗き込む筧に、ひなたは少し笑う。
それから「先輩には言ったんだけど…」と言葉を紡いだ。
「ちょっとうちの幼馴染がね…」
「…幼馴染…それって、言わずもがな、金持ち的な?」
「的な。で、美少女、気が強い、我儘っつーテンプレートなお嬢様なんだけど…」
はぁ、とため息をつきながらひなたは頭をかいた。
その髪は…いつものエクステではなく短い…つまりは、男装姿で。
どこと無く疲れた様子の友人に、筧は何かが起こったことを察した。
「そのテンプレお嬢様が何かしたのか?」
「んー…まぁ、元からぼくにとっては厄介な子なんですが…」
「厄介?」
筧が疑問を投げ掛け、ひなたがため息をつくと…遠くから、ザワザワと何か声が聞こえてくる。
…そして、慌ただしい足音。
ひなたが「まさか…」と振り返るのと教室のドアが勢いよく開くのはほぼ同時だった。
「ひな、ヤバい!」
「…ゆう…どうしたの?」
「お、久々だな、弟!」
「久しぶりー、筧…じゃなくて!ひな、どうしよう!」
扉を開けたのは…ひなたの双子の弟、夕陽(ゆうひ)だった。
整ってはいるがあまり似ないのは、ひなたが母親似、夕陽が父親似の二卵性双生児だからだ。
ひなたよりも背の高い夕陽が、ゆさゆさとひなたの両肩を掴み揺さぶりながら、涙目でどうしようと訴える。
最初はされるがままのひなただったが…
「そろそろ落ち着け」の言葉と頭突きで夕陽を黙らせた。
「何がどうしようなのさ!夕陽は主語がたりないの!」
「~~~~っっ!」
「いつまでも痛がるな!」
「いや…そりゃあ痛ぇよ…」
頭突きで木製のまな板くらいなら割ってしまうひなたの頭突きだ。
悶絶する夕陽に筧は心から同情した。
頭突きを食らった額を押さえつつ、何とか再起した夕陽は…また別な意味での涙目になりながら、ひなたに訴えた。
「ひな、学校に愛衣が来た…!」
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