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スーパーヒーロー【4】
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「何だ、割とちょろいじゃーん?」
そしてあっという間に試合終了。
ひなたはまるで鞠つきでもしているかのような、それくらい飄々とした態度で始終試合を自分ペースに運んでいった。
一見、無造作のように見えるその所業だったが…。
「…あー、ひなのヤツ…ほんと、性格曲がってる…」
「夕陽くん?」
ドッジボール観戦中に周に捕まった夕陽が、途中で呆れたようにため息をついた。
一緒にいた筧も興味が沸いたようで、夕陽の言葉に耳を傾ける。
「次は…あの鈴木って子当てます。」
「え?…あ、ほんとだ。」
「次はあの本田君。」
「お?…おぉ!?すげ、マジだ!何で?」
双子のテレパシー?とふざけて聞いてくる筧に、夕陽は首を振る。
「違う。…ひな、わざと穂村君の近くの子狙ってる。」
「…は?」
「で、多分最後まで穂村くんは狙われないと思う。」
「…なるほど。すごいなぁ、ひなた…。」
「それを純粋に受け入れられる周さんもすごいと思います…」
そして夕陽の宣言どおり、ひなたは一番最後に穂村を一発で仕留めたのであった。
「せんぱーい!勝ちましたよー!」
「うん、お疲れ様、ひなた。」
無事に勝利を収めたひなたは、終了の挨拶を終えると一目散に周の元へ走ってきた。
周はひなたを受け止め、その体ごとクルッと一回転した。
「これで安泰だねぇ」
「ま、初めから分かってたことだけどな…」
遠くのほうで魂が抜けたように突っ立っている穂村を見て、筧が苦笑した。
ひなたも思い出したように穂村へと視線を送った。
それから「はぁ」と大袈裟にため息をつく。言葉を紡ごうとしたが…それを周が制した。
「せんぱ…?」
「穂村くん。」
そして自ら穂村に声をかける。
穂村も…そしてひなた、筧、夕陽も驚いたように周を見た。
「君がひなたを好きになる気持ちは分かるよ。俺も、ひなた大好きだし。…本気だって言うのも、分かる。」
「……」
「でも、ひなたが好きなのは俺だし…。ひなただけは譲れない。ごめんね?」
「…じゃあ、何で勝負は引き受けなかった…?」
ぎゅ、と拳を握って悔しそうな穂村がポツリと呟く。
不意打ちのような質問に、周はあくまで冷静にこう答えた。
「だって、負けたらひなたを手放すとか…したくないし。勝負しなければ、負けないからね。」
ひなたが受けて立っちゃったのは予想外だったけど、と周は笑った。
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