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スーパーヒーロー【5】
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「んじゃー、2-Aの総合優勝を祝してー…乾杯!」
「「かんぱーいっ!!」」
「よくやったなー、お前ら!」
球技大会の閉会式を終え、教室に戻った一行は東が準備していた缶ジュースで打ち上げをはじめた。
球技大会は…なんと2-Aの全競技優勝で幕を閉じた。
「いやー、今日はお前らのおかげでいい酒が飲めそうだ。」
「何、先生たちで飲みいくの?」
「まぁな。俺、今日は財布ここに忘れる予定だから。」
「うわー、東せんせ最低。」
「いいだろ今日くらい。無礼講だ。お前がここにいることも無礼講だ。許してやるよ。」
「せんせーいい人ー」
大賑わいのクラスを眺めての会話は、東と周のものだ。
周のクラスは特に目立った成績も無かったのであっさりとSHRを終えていたらしい。
「しかし…最後のお前のあれは青春くさかったな。いっそ男前過ぎて泣きそうだったわ。」
「男前…俺はひなたと何かを天秤にかけられるほど根性ないんですよ。」
「…そんくらい好きってことだろ?いいな、若くて。」
「……若い、か…」
若い、と言う言葉は曖昧だ。
もちろん良い意味で捉えられることの方が多いだろう。例えば何でもできるというような、比喩で。
(…浅はか、なのかな。)
男同士と言うのが、世間から見れば異様だということは…分かっている。…分かっている、はずだ。
それを分かった上で、それでもひなたが好きで…ひなたも好意を向けてくれている。
…でも、互いの好意ばかりに夢中になりすぎている気がする。
今は「若い」から許されるが…。
「せんぱいっ!」
ぎゅ、と横からひなたが周に抱きついた。
考え込んでいた周は…やっと、隣から東がいなくなっていたことに気がついた。…どうやら彼は自分のクラスの子達の輪に加わったらしい。
「難しい顔してる。どうしたの?先輩。」
「ん?なんでもないよ。皆楽しそうだなぁって。」
すりすりと擦り寄ってくるひなたの髪に、ちゅっと唇を寄せて周は答えた。
(…やめよう。)
もう、考えるのはやめよう。
きっと、若い俺が考えても答えには行き着きそうにないから。
――……だが、周に答えを求める人物が『帰って』来るのは、割とすぐ後のことだった。
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